【建設×テクノロジーで業界アップデート】子どもが夢見る業界へ/BRANU CEO 名富達哉氏 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【建設×テクノロジーで業界アップデート】子どもが夢見る業界へ/BRANU CEO 名富達哉氏

 テクノロジーで建設業界をアップデート--。建設テック企業のBRANU(ブラニュー、東京都港区)は、2009年の創業時から一貫して、中小建設事業者に特化したDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援している。足元では集客・採用を目的としたデジタルマーケティング、協力業者や仕事のマッチング、現場の施工管理、工事代金立替・決済サービスの4プロダクトを提供しており、全てのステークホルダーが業界を超えてクラウド上で連携・協業する「CAREECON(キャリコン) DX Platform」構想を掲げている。顧客の事業拡大に貢献するだけでなく、その先にある業界全体のDX推進、将来的にはレガシーな産業構造や情報流通のゆがみまでをテクノロジーで正すべく、その先陣を切る。名富達哉代表取締役CEOは「子どもたちが誇りと夢を持てるような、豊かでかっこいい業界」に思いをはせる。

 実家が総合建設業だったこともあり、かつては現場に立った経験もある。60兆円といわれる巨大な市場でありながら、多重下請構造やアナログ業務による生産性の低さなど課題が山積している。「建設業界がどういった業界なのか理解していましたね」。新卒で産業別にICTソリューションを提供する企業に入社し、建設・リフォーム業向け事業部に配属されたことが業界を見つめ直す機会になった。建設業界はICTの利活用が遅れていることを実感するにつれ「業界のデジタルシフトに貢献したい」との思いを強くした。革新に寄与するため、その「新」の意を込め、「BTANU」を立ち上げた。
 
 具体的に展開しているプロダクトは、集客・採用活動を支援するノーコードウェブサイト管理ツール「CAREECON Sites(キャリコンサイツ)」のほか、建設事業者同士をマッチングし、現場の人手不足を解消するシェアリングプラットフォーム「CAREECON(キャリコン)」、現場管理業務のデータ作成・管理・共有の手間を削減するクラウド施工管理ツール「CAREECON for WORK(キャリコンフォーワーク)施工管理」、売掛金早期現金化サービスがある。1つのアカウントで全てのサービスを利用でき、IDやパスワードを複数管理する必要がない。最小限の費用・時間・労力でDXを導入できる。

 中でも「CAREECON Sites」は、専門知識がなくても、パズル感覚で自社のウェブサイトを制作できるのが特徴だ。「ウェブサイトの最終的な目的は集客や採用」と考え、サイト訪問者のアクセス解析、顧客管理、求人投稿機能やブログ機能といったマーケティング機能も備える。コードが書けなくても情報の追加や管理ができるほか、豊富なテンプレートの中から選んで画像をアップロードするだけで手軽に更新できる施工事例投稿機能が好評だ。

 「もともと中小建設事業者はマーケティングの概念が希薄で、サイトを持っていない事業者が多い」という。このため、顧客にとっては「競合が少なくデジタルマーケティングを行うだけで大きな効果が見込める」と考える。実際に、サイト公開後に受注案件の30%がウェブサイト経由になり、売り上げが導入前に比べて5倍に増えた例や、サイトに施工写真を載せたことで、それまでの業務以外の依頼が舞い込み、元請比率がゼロから50%に増えた事例もある。ウェブサイトの制作実績は全国で4700社(22年6月時点)を超え、建設業29業種全てを網羅するまでに実績が積み上がった。

◆中小建設事業者向けにDX支援
 とはいえ、建設業界のデジタルシフトにはまだ高い壁が立ちはだかる。「業界ピラミッドの上と下では、テクノロジーへのリテラシーの差が大きいことが業界の進歩を妨げている」と指摘する。実際に「クラウドなんてよく分からない」「アプリは使えない」という中小建設事業者も多い。「これまでの文化をとても大切にする方が多いからこそ、変革しようとしても受け入れてもらうのはそう簡単ではない」
 実際に中小建設事業者が最初の一歩を踏み出すには、業務ごとに複数企業のサービスやツールを使い分ける労力が求められるだけでなく、ツールを活用できない場合の費用や時間が無駄になるという考えも根強い。こうした状況を打破するため、4月には各ツールの機能を必要最低限に絞り、最小限の運用コストで効果を実感できる「CAREECON mini」も開始した。
 建設DXでは「推進役となる人材の有無」が肝になる。ツール導入に当たっては業界に精通した専任のDXコンサルタントが顧客1社に1人つき、使い方のレクチャーからワークフローの設計整備、その後の社内浸透までをサポートする。
 企業理念には「After us」を掲げる。これは「After you」(お先にどうぞ)という英語の慣用句を逆転させたものだ。建設業界を変えるには「お先にどうぞという考えではいけない。顧客が新しく何かを始めるとき、先頭を進む存在でありたい。われわれに安心してついてきてほしい」。誰よりも、一歩先へ。その姿勢はサービスにも反映している。

【会社概要】
 BRANU株式会社
 代表取締役CEO 名富達哉
 所在地:東京都港区六本木6-1-24ラピロス六本木4階
 設立2009年8月18日
 事業内容:建設業向けデジタルトランスフォーメーション事業
 URL https://branu.jp

   



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