【坂 茂】断面模型やモックアップで施工過程伝える展覧会 7/16まで@TOTOギャラリー・間 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【坂 茂】断面模型やモックアップで施工過程伝える展覧会 7/16まで@TOTOギャラリー・間

長さ4mの「ラ・セーヌ・ミュジカル」の断面模型

 建築家、坂茂氏の展覧会「坂 茂:プロジェクツ・イン・プログレス」が東京都港区のTOTOギャラリー・間で開かれている。坂氏は、「作品の施工過程を伝えることを中心に展覧会を考えた。そのためにモックアップや模型などをできる限り展示している」と話す。世界各地で進行中の最新プロジェクトのプロセスを通して、坂氏の設計思想や設計作法を紹介するこの展覧会は7月16日まで。
 坂氏は、「紙管」という斬新な構造体による災害支援の仮設住宅提案などで世界から注目を集め、近年は「ポンピドー・センター-メス」(2010年、フランス)や「大分県立美術館 OPAM」(14年、日本)など国内外で大規模建築の設計も手掛けている。その実績が認められ、14年にはプリツカー賞を受賞している。
 展覧会では、入口すぐのスペースに、4月22日にパリ近郊のセガン島にオープンした複合音楽施設「ラ・セーヌ・ミュジカル」の長さ4mの断面模型が展示されている。坂氏が改めて注目している素材である「木」の大規模プロジェクトとなる。コンペから竣工までの6年間にわたる設計、施工プロセスをモックアップや定点映像などで表現。環境への配慮として日照に対応して回転する太陽光パネルを採用しているのも特徴の1つ。外観デザインは、セーヌ川に浮かぶ巨大客船のようで、パリの新たな文化発信拠点として期待されている。
 ほかに、「スイス時計会社本社」「台南市美術館」「竹田市クアハウス」など進行中プロジェクトのプロセスを紹介している。中庭に再現した「熊本木造仮設住宅」のモックアップ、「竹田市クアハウス」のレシプロカル構造の屋根、「ネパール復興プロジェクト」のレンガと木枠のモックアップも臨場感のある展示になっている。
 展覧会に合わせて出版された『坂 茂の建築-材料・構造・空間へ』(TOTO出版)は、30余年で手掛けた113作品を紹介。5つのカテゴリーと16のテーマで体系化され、変遷をたどることができる。カバー裏面の計画案を含む全作品を掲載した年表もユニークだ。
 展覧会は午前11時から午後6時まで。月曜日休館。無料。

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