【プライバシーと安全確保】避難所用間仕切りシステム ワクチン接種会場での設営方法を検証 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【プライバシーと安全確保】避難所用間仕切りシステム ワクチン接種会場での設営方法を検証

 紙管と布を使った避難所用間仕切りシステムの普及を進めているNPOボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN、坂茂代表理事)と小松マテーレは2日、災害時協定を結んでいる石川県小松市とともにワクチン接種会場の設営方法を検証した。作業終了後、坂氏は「(ワクチンを接種するブースは)プライバシーと安心を確保する動線や間隔を持った配置計画が大切だ」と話した。

ユニットを説明する坂氏、左に和田市長と中山会長


 検証作業は同市大野町にある学校の体育館を使って行った。大規模災害時に住環境に対する支援活動などを展開しているVANは、避難所でのプライバシー確保のために紙管のフレームと、小松マテーレが開発した防炎や吸音機能を持つ布を使った間仕切りシステムの普及に2011年から取り組んできた。同市は昨年7月に2者と協定を結び、同システムを備蓄していた。市では災害時だけでなく新型コロナワクチンの接種会場にも同システムが効果的と判断し、今回設営を検討した。

 坂氏は、ワクチン接種会場でも「密」による感染リスクがあるとして、適切な間仕切りと設営の必要を訴えるとともに、「声をかけてもらえればどこでもデモンストレーションに行く」と全国の自治体に呼びかけた。

 小松マテーレの中山賢一会長は今回使用する布が、防炎機能などのほかに抗ウイルス加工を徹底したことを強調。付着したウイルスを2時間以内に完全に不活化できるとした。和田慎司市長は「この間仕切りは軽く、自由に組み立てができ、感染の心配がない安心の会場を確保できる」と評価した。

 小松マテーレは2016年から坂氏の紙管間仕切りシステム普及に関わるようになり、17年から本格的に自社開発の布を提供し始めた。避難所向けの布の提供実績は17~18年度が1万2000枚(120×240cm)で1500ユニット、19年度以降は抗ウイルス機能を付加したことなどもあって17万枚、1万5000ユニットに増加したという。


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