【鹿島が社研修施設でCO2削減】環境配慮型コンクリ採用 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【鹿島が社研修施設でCO2削減】環境配慮型コンクリ採用

◆実用化の幅を拡大

 鹿島は、自社グループの研修施設である鹿島テクニカルセンター(横浜市)の建設に、同社が開発した2種類の環境配慮型コンクリートを採用し、建設時のCO2排出量を約31t削減したと発表した。戻りコンを原材料として再利用した「エコクリートR3(アールスリー)」と、製造時にCO2を吸収・固定する「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」をそれぞれ新たな用途で適用することで、環境配慮型コンクリートの実用化の幅を広げた。

エコクリートR3を採用した外構RC目隠し壁


 エコクリートR3は戻りコンから骨材を取り除いた後、脱水・粉砕して製造するスラッジ再生セメント「Cem R3(セムアールスリー)」を原材料として再利用する。製造工程で大量のCO2を発生するセメントの代替物とするため、資源循環を図りながらCO2排出量を抑えられる。Cem R3の含有量により、高含有型(Cem R3をセメントの一部として50%程度使用)と低含有型(同20%程度使用)があり、今回は高含有型の生コンクリートを外構RC目隠し壁に、低含有型の生コンクリートを基礎躯体に採用した。

 高含有型はこれまでプレキャスト部材として躯体に使用した実績はあったが、生コンクリートを建設現場で打設し、躯体に使用したのは初めて。シーカ・ジャパン(東京都港区、アマン・マルコ社長)の協力の下、現場打設した。

 CO2-SUICOMは産業副産物と特殊混和材「γ-C2S(ガンマシーツーエス)」をセメントの代替材料としてセメント使用量を減らすとともに、γ-C2SとCO2を反応させてコンクリートにCO2を大量に吸収・固定させる技術。固まる過程で吸収するCO2量がセメント由来のCO2発生量を上回るカーボンネガティブコンクリートだ。

 鹿島テクニカルセンターでは歩道のインターロッキングブロックと駐車場の車止めに加えて、外構部に適用する雨水貯留・浸透型の緑地システム「DEW(デュー)レインガーデン」の底板・側板に使用した。炭酸化養生の過程で中性に近い水素イオン指数(pH)となるため、植物に優しいというCO2-SUICOMの特徴を生かした新たな活用法で、今後の普及・展開を見込む。

 環境配慮型コンクリートの採用削減できたCO231tは高さ20mの杉の木2200本が1年間に吸収する量に相当する。今後は「J-クレジット」の取得を予定している。

施工中のDEWレインガーデンの底板・側板




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