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5月12日 日曜日

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【ミズノ、睡眠市場に参入】建設現場のアドバイザー目指す

◆24時間トータルで職人をサポート


ミズノのテクノロジーをどう応用するか研究し、睡眠の快適性を高めてきたと語る伊藤氏

 総合スポーツメーカーとしてトップクラスのブランド力を誇るミズノが、快適な睡眠を後押しする「睡眠市場」に本格参入した。トップアスリートを支えてきた独自のテクノロジーや理論を“スポーツ発想”で取り入れた新シリーズ「MIZUNO SLEEP(ミズノスリープ)」を立ち上げ、初弾の製品として高反発網状素材「ReFull(リフル)」を使用したマットレス、敷パッド、枕の3アイテムを発売した。伊藤孝彦ライフ&ヘルス事業部事業企画部マーケティング1課課長は「肉体と頭脳を駆使して働く建設現場の方々にとって、夜の睡眠は昼間のパフォーマンスにも影響し、非常に重要になる。睡眠領域に参入したことで、24時間トータルで建設業の方々をサポートできるようになった」と意気込む。今後も品ぞろえを増やしていく計画で、2025年には寝具分野の売上高10億円を目指す。


 

 同社が睡眠市場への参入を検討し始めたのは、4年ほど前だ。「人生100年時代といわれる中、運動や食事と併せてその重要性に注目が集まっているのが睡眠の質。職種、年代を問わず、あらゆる人が最適なパフォーマンスを24時間発揮するためには、快適な睡眠が重要だ」との発想から生まれた。伊藤氏は「この4年間、ミズノのテクノロジーをどう寝具へ応用するか研究し、睡眠の快適性を高めてきた」と振り返る。

3層構造の高反発素材を採用したマットレス  「ReFull(リフル)」

 具体的に「ReFull」は、高い体圧分散と寝返りのしやすさを実現した新構造のフィジカルサポートマットレスとなる。同社のテクノロジーや構造メカニズムを生かし、スポーツ発想のもとで開発した、唯一無二の自信作だ。頭や腰、ふくらはぎなど体の各部位の形や可動域を考慮した形状になっており、フィット感が高く睡眠時の体の負担を軽減する。また、硬さの違う3層構造の高反発素材を採用し、寝心地よく、少ない力で寝返りができるという。

 一方、敷パッドは、独自の凹凸で体と寝具の間に空気の通り道をつくり、睡眠中にたまる熱を逃がすことで、寝苦しさを和らげる。「暑苦しくて早く起きてしまう」という悩みにも「既存の接触冷感の寝具は寝入りにはいいが、睡眠中の暑さには効果が薄いのでは」(伊藤氏)と考え、スポーツウエアに使われる独自素材「ドライエアロフロー」の汗処理機能を応用した。薄くコンパクトで、洗濯時のカバー取り付け・取り外しもスムーズ。簡単に六つ、三つ折りに畳めるため、収納や持ち運びにも便利だ。

敷きパッド「風道 -フウドウ-」は寝床内温度を約1度下げ、湿度を約35%抑制。睡眠中にたまる熱を逃がす構造に

 クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で6月から受注を始めたところ、マットレスの購入総額は5000万円を超え、敷パッドも約1000万円と目標金額を大きく上回る好評ぶりだった。
 スポーツ用品大手の参入が相次ぎ、睡眠市場は急速に拡大している。最近ではITを駆使して睡眠状態を測定し、眠りの質の向上を図るサービス「スリープテック」も登場し、睡眠市場は従来の寝具や飲食料分野以外のフィールドにも広がりつつあり、睡眠ビジネスは活況を呈している。

 伊藤氏は、こうしたウエアラブルメーカーとの将来的な連携も視野に入れつつ、「建設現場の職人のデータを基に疲労軽減に向けたアドバイスができるような、“建設現場のアドバイザー”を目指したい」と期待を込める。既に同社は、トップアスリートらのパフォーマンス向上を支えてきたミズノブランドの作業着やシューズの提供を加速している。「ワークウエアやシューズだけでなく、寝具も含めて全体的に現場をコーディネートすることで、建設現場の安全に貢献できるはずだ」と自信をのぞかせる。

 

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