【ベストパフォーマンス発揮する作業服】ミズノ | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【ベストパフォーマンス発揮する作業服】ミズノ

ワークビジネス事業部 事業部長 中島 雅利氏

 総合スポーツメーカーとしてトップクラスのブランド力を誇るミズノが、ワークビジネス事業を強化している。創業からスポーツシーンで培った開発技術や知見を強みに、2019年にワークビジネス事業部を新設した。売上高は右肩上がりで伸び、同社ビジネスの新たな柱になりつつある。中島雅利ワークビジネス事業部事業部長は「過酷な建設現場は、野球やサッカーなど炎天下で試合をするスポーツの環境に近い。われわれのノウハウが大いに生かせる市場だ」と照準を合わせる。

 炎天下の現場作業でも足が蒸れないようにするため、ことしの6月から八つの通気孔を持つミッドソールを採用したワークシューズ『オールマイティVH11L』を発売した。シューズ内の蒸れた空気を中底からミッドソールの側面につながる通気孔を通じて排出し、快適性を保つ話題の新製品だ。ゼネコンへのヒアリングでは「通気性が良く、シューズ内の熱さや蒸れを感じにくい」とのうれしい反応が寄せられ、店頭の売れ行きも好調だ。中島事業部長は「非常に良いスタートを切れている」と手応えを口にする。

ミッドソール側面(上)と中底上面

今夏の新製品『オールマイティ VH11L』の評判は上々だ。ブルー×ホワイトのほか、ブラック×ダークシルバー、カーキ×シルバー、レッド×ホワイトも展開

 そもそも同社のワークビジネス事業は、競技ユニフォームで付き合いのある企業から「社員の制服をつくってもらえないか」と相談を受けたことに端を発する。30年ほど前、スポーツチームのウエアを提供していた佐川急便からの依頼が最初の案件。付き合いのある企業に個別対応していたが、依頼が増えるにつれ「機能性の高いワークウエアは今後ますます需要が高くなる」と確信を得た。「少子化により、子どもや若者に支えられたスポーツの競技人口が右肩上がりで増えることは期待できない。それまでの技術を生かして新たなビジネスを創出しようと、ワークビジネスに本格的に取り組むことになった」と振り返る。
 16年にワークシューズの本格展開を始めた。18年にはワークアパレルがこれに続く。需要を取り込むため、19年に事業部を発足すると同時に営業体制を強化した。これまで、さまざまな業種の700社超に多様なウエアを納品した。売上高ベースで見ると、事業を開始した16年度は27億7000万円だったが、事業部を設立した19年度は53億円、20年度には68億9000万円、直近の21年度は72億円と順調に推移し、25年度は170億円の目標を掲げている。
 中島事業部長は、好調な実績の要因の一つとして「建設業をはじめ、多くの業種で労働環境や安全性が重視され、ワークウエアに求められるものがここ数年でがらりと変わった」ことを挙げる。「かつてのワークウエアはできるだけ安く、汚れてもいい頑丈な“作業服”だった。しかし、現在はベストパフォーマンスを発揮するための機能を備えた、いわば労働環境の一部に様変わりした」という。同事業部の売上高の6割をアパレル、4割をシューズが占めるが、そのほかの手袋や工具袋などの小物類も含めて、「ミズノ製品をフルに使ってもらうことで作業性を高め、現場で働く人の負担を減らしたい」と力を込める。
 街で目にする機会が多いワークウエアは企業イメージに直結するため、人材確保の観点でも重要視されている。「大手ゼネコンに限らず、若者を呼び込むために高機能でスポーティーなデザインのワークウエアを採用し、積極的にPRすることで、リクルーティングにつなげる中小建設事業者も増えている」。スポーツウエアと同じオーダーシステムを導入しているため、こうした需要にも短納期や小ロットの注文に柔軟に対応できる。例えば、企業ロゴ入りのワークウエアであれば最短で90日、ロットも10枚から納品可能という。
 建設業界の市場規模は約60兆円と大きい。今後は、フルハーネス義務化への対応強化も含めて、建設現場で重視される安全性により厳格に対応し、耐久性を一層高めた製品開発を進める。「主役は現場で汗を流している一人ひとりの職人だ。笑顔で快適に仕事ができるようにしたい」と話す。これからも職人の思いに寄り添い、開発を続ける考えを示す。



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