【BIM/CIM未来図DX】中央復建コンサルタンツ(中) | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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【BIM/CIM未来図DX】中央復建コンサルタンツ(中)

DX推進会議が業務最前線を下支え/「賢く使う」意識に広がり

 中央復建コンサルタンツのBIM/CIM推進に向けた足跡は、時代の変化を見据えながら進化を遂げてきた。全社技術開発プロジェクトとして3次元設計にかじを切った2007年のタイミングで、社内推進組織「CIMミーティング」を発足したのが出発点となる。当時からBIM/CIMの推進役として社内をけん引してきたICT推進室の森博昭室長は「業務の中でBIM/CIMを効果的に使うことを目的に、基盤整備や人材育成に力を注いできた」と振り返る。

 社として愛用するオートデスクのBIM/CIMツールを使いこなすため、社内3次元CAD研修をスタートしたのは09年。実務者が講師を務めるほか、実践で得たノウハウを研修テキストに反映するなど、自社内で全てを運営してきた。担当者が業務上の悩みを相談できるように、本社に1週間留学する「CIM塾」もBIM/CIMの定着に一役買った試みの一つだ。

 推進組織のCIMミーティングは、国土交通省のBIM/CIM原則化がスタートする1年前の22年度に「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進会議」へと名称を変更した。国がインフラ分野のDX推進に乗り出したことで、原則化をきっかけにインフラDXの基盤情報としてBIM/CIMデータが存在感を増す。森室長は「BIM/CIMデータを賢く使うことが、当社にとってのDX推進の出発点にもなる」と強調する。

BIM/CIM定着し業務も高度化

 DX推進会議は、ICTを効果的に使いながら、インフラDXを具体化する場として位置付け、マネジメント技術者の育成を担う「DXマネジメント・ミーティング」と、DX関連のツール操作技術者を育成する「DXテクニカル・ミーティング」の下部組織を設けた。

2007年から3次元設計をスタート


 毎月開催するDXテクニカル・ミーティングは各部門からCADオペレーターを中心に総勢38人が集まり、ツールの操作に関連した業務上の相談事を吸い上げ、社内に水平展開する橋渡し役を担う。メンバーの8割は女性が占めている。まとめ役を務めるICT戦略室の伊藤麻衣子氏は「メンバーの大半は土木を学んでいないが、オペレーターの域を越え、業務上のアドバイスをするメンバーも多く、業務の下支え役として活躍している」と説明する。

 BIM/CIMの定着に呼応するように、各部門のツール操作に関連した要求事項はより高度化している。オートデスクの担当者を招待し、操作テクニックや情報交換を行う機会も増えている。最近はオートデスクのビジュアルプログラミングツール『Dynamo』に関連した問い合わせが多く寄せられるようになった。

 同室の阿比留麻織氏は「業務の高度化に伴い、新たな業務ツールの開発を求める声もあり、Dynamoの活用は今後さらに増えていく」と考えている。BIM/CIM設計ソフト『Civil 3D』の操作感を高めるため、ツールボタンの開発など、使い勝手を良くするシステム改善を求められるケースも頻繁にある。森室長は「ツールのカスタマイズが広がる背景は、BIM/CIMを賢く使っていこうという意識の表れに他ならない」と手応えを口にする。

 オートデスクで建設ソリューションマネージャーを務める松本昌弘氏は「BIM/CIM原則化に伴って建設コンサルタントに情報提供する機会が増えているが、中央復建コンサルタンツはより高いレベルの要求をしてくる一歩進んだ企業の一つ」と評価する。推進役としてBIM/CIMの普及に力を注いできた森室長は「進展する当社のBIM/CIM活用をDXテクニカル・ミーティングがけん引している」と強調する。

DXテクニカル・ミーティング




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