【記者座談会】政府有識者会議、最終報告たたき台/国交省、GX建機認定制度創設 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】政府有識者会議、最終報告たたき台/国交省、GX建機認定制度創設

◇技能実習に代わる制度創設

A 技能実習制度と特定技能制度の在り方を議論している政府の有識者会議が最終報告書のたたき台をまとめた。ポイントは。

B 技能実習制度を廃止し、それに代わって、基本3年の在留期間終了後に特定技能1号へ移行することを前提とした外国人受け入れ制度を創設する。新制度は技能実習制度で不可としていた本人意向の転籍を一定条件下で認める。

C 職種ごとに受け入れる技能実習制度では、例えばとびの技能実習生が左官の仕事をできなかった。新制度は、建設分野の場合に土木、建築、ライフライン・設備の三つの業務区分内で幅広く仕事ができる特定技能制度と受け入れ対象分野を合わせるため、技能実習制度より従事可能な仕事の範囲が広がる。

D 在留期間満了前に受験した特定技能1号の試験に不合格でも、すぐに帰国させるのではなく、再受験を目的とした最長1年の在留継続を認める救済措置も設けることにしているよ。

A 外国人と受け入れ企業の双方にとって、技能実習制度より利便性が高い制度になりそうだ。そもそも、どうして在り方を議論しているの。

C 技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を掲げる制度目的と、人材確保・育成に活用されているという実態に、乖離(かいり)が生じているとの指摘があった。受け入れ企業の役職員による暴行事案が相次いで発覚するなど、技能実習生が弱い立場に置かれ、外国人の人権が侵害されていると国際的に批判を浴びたことも背景にある。

D 有識者会議は、目的と実態を一致させつつ、人権侵害を根絶させる方向で新制度を議論しているよ。

A 今後のスケジュールはどうなっているの。

B 最終報告書が今秋にまとまった後、関係閣僚会議で政府方針を決定し、早ければ2024年の通常国会で新制度を法制化する見通しだ。

技能実習制度などの在り方を議論している政府の有識者会議。今秋に取りまとめる

◇電動建機の開発・普及促進

A 話は変わるけれど、建設現場のカーボンニュートラル(CN)実現に向け国土交通省が本格的に動き出したね。

B GX(グリーントランスフォーメーション)建設機械認定制度を創設し、バッテリー式や有線式の電動建機を対象に申請受け付けを始めた。認定した型式を23年内に公表する。建機メーカーの技術開発と開発された建機の普及を促すことが狙いだ。

C まずは標準動作当たりの電力消費量基準を設けない暫定規程で運用している。恒久規定に位置付ける電力消費量基準値を24年度以降に検討し、30年度をめどに移行する予定だ。

D 建機由来のCO2排出量を削減するためには、電動建機の普及に加え、充電・給電するインフラが必要になる。国交省は利用環境の整備も今後検討するとしている。

B 将来的には、水素などを燃料とする建機への認定対象拡大を見据えているよ。

C さまざまなパートナーと連携してビジネスモデル構築や市場調査に乗り出すなど、建機メーカーの動きも活発だ。例えば、日立建機はオランダのアルフェン社、伊藤忠商事と可搬式充電設備事業で協業し、ニーズが強い欧州をターゲットに定め、電動建機の普及と建設現場のインフラ整備を一括で行うとする。九州電力とは、24年から可搬式充電設備を開発すると発表した。

D コベルコ建機は水素を駆動源とする燃料電池式電動ショベルの試作機を開発した。25年には欧州市場に、バッテリー式のミニショベル、小型重機ショベルを投入する。日本向けにはクローラークレーンの有線電動仕様機を市販する計画だ。国内市場の電動建機はまだ少ないけど、これから続々登場しそうだね。

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