娘の保育園では、年長になると自分のロッカーや持ち物を示す色が決められる。自分の色は、子ども同士が話し合って決めるという◆薄紫を望んでいた娘は結局、赤になった。最初に一人ひとり欲しい色を言い、同じ色になった子同士で話し合った結果、全員が最初に望んだ色とは違う色になった。全員が少しずつ譲歩して誰も最高の幸せを得られない妥協の産物ではないか◆まちづくりでも同様のことが起きる。反対ばかりでは、まちの課題は解消されないまま。誰か一人の希望を通せば、しこりを残す。結果的に全員が少しずつ譲歩した妥協の産物ができ上がる◆だが娘はいま、望んでいなかった「赤」でたいそう喜んでいる。そうか。譲歩したと思うのではなく、相手の提案を好きになれば、妥協ではなくなるのか。学びの春となった。