
赤門から医学部本館方向を見た図
東京大学の150周年企画調整委員会(委員長=津田敦理事・副学長)は、東大が150周年を迎える2027年に創建200年を迎える大学のシンボル「赤門」の耐震補修と周辺エリア整備を実施することを決めた。150周年記念事業「赤門周辺の歴史的環境保全事業」に位置付け、事業に必要な資金の一部に充てる寄付金の受け付けを始めた。募集期間は27年3月末まで。
赤門(旧加賀藩上屋敷後守殿門)は、1827(文政10)年に加賀藩主の前田家13代斉泰が第11代将軍・徳川家斉の21女・溶姫を迎えるに当たって建造された。江戸期には、将軍家から三位以上の大名家に輿入れがある場合、朱塗りの高麗門を建てる習慣があり、通常は輿入れした姫が亡くなると取り壊すものの、溶姫が明治期まで存命だったため現存しているといわれる。
本柱4本、内側の控え柱2本の計6本で屋根を支える「薬医門」という構造で、国の重要文化財に指定されている。1871(明治4)年に文部省用地となり、77(同10)年の東京大学創設に伴って赤門も大学に移管され、東大の象徴的存在となった。ただ、老朽化に伴って耐震性に問題があることが分かり、2021年2月以降、閉鎖されたままとなっている。
周辺の環境保全事業では、赤門を補強・補修して再び開門できるようにするほか、トイレや守衛所の整備、赤門周辺で発掘された遺構の保存・展示、隣接するUTCC(東京大学コミュニケーションセンター)の改修を予定している。同センターの前に長く伸びる大庇の下に遺構の展示空間を整備し、周辺の舗装や歩道も合わせて整備することで、来館者が散策できる「赤門ロード(仮称)」とする予定だ。

「赤門ロード(仮称)」のイメージ
同大は、8月に「東京大学(本郷)赤門(重要文化財旧加賀屋敷後守殿門)耐震改修設計業務(基本設計)」を文化財建造物保存技術協会に委託している。履行期限は25年3月14日。