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5月1日 木曜日

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【記者座談会】福岡市がみどりのまちづくり/エネ基や温対計画など閣議決定

A 福岡市が今後10年間を計画期間とするマスタープランの重要テーマに「みどり」を位置付けた。

B まちなかに緑があふれるまちづくりを展開する方針だ。民間ビルの建て替えが進む天神地区では、階段状の斜面に木々があふれるアクロス福岡を中心に、再開発エリアの緑化に取り組むことで“都心の森”を創造する。

C 施策を担う住宅都市局は「住宅都市みどり局」に名称を変更する力の入れようだ。高島宗一郎市長は、2025年度当初予算案の記者会見で「天神の中に小さな森が誕生するような、憩いや安らぎの場所にしたい」と展望を語っていた。

B 計画の初年度となる25年度は、本庁舎や地下鉄天神・博多・福岡空港駅などの公共施設の壁面緑化などの経費を盛り込んだ。集合住宅のベランダや都心部のオフィスビルなどの緑化に対する国内最大規模の助成制度も創設する。

C 街路樹などの植樹やPark―PFI(公募設置管理制度)を活用した公園づくりも実施する。都市の緑地保全や緑化推進計画の改定作業を現在進めており、これらの施策や成果指標が盛り込まれる見通しだ。35年度の目標値案には、新たな壁面緑化による民間ビルの棟数250棟、民間活力を導入する15公園、都心部の植樹本数1万本などを盛り込んだ。

D 人口減少による土地利用の変化や気候変動に伴う災害リスクの増大によってグリーンインフラの重要性が高まり、関連技術の開発や情報発信が全国で展開されている。27年3月には横浜市で37年ぶりに国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027)が開かれるが、まさに持続可能性や環境との共生といった観点からインフラ整備や都市の在り方を世界に提示していくことになる。

緑化が進むアクロス福岡

A 政府も脱炭素社会の実現や今後の地球温暖化対策を方向付けた「第7次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」「政府実行計画」「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」を閣議決定したね。

E エネ基では、40年度の電源構成目標を再生可能エネルギー4-5割、原子力2割、火力3-4割とした。電力需要は減少すると予想されていたが、AI(人工知能)の普及で増加に転じるほか、脱炭素社会に向け企業が脱炭素電源を求めていることなどを背景に、原子力と再エネの脱炭素電源を最大限活用すると明記した。

D ただ、原子力は原発の一部が再稼働したものの、今後は廃炉になるものもある。原発の再稼働を加速し、廃炉の建て替えも推進する方針を打ち出したが、先行きは見通せない。また、再エネ普及拡大の切り札とされた洋上風力発電にも暗雲が漂っている。物価高や建設費が高騰し、採算性が悪化しており、計画の見直しを迫られている。

E 温暖化対策では、日本の新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標を、35年度に13年度比60%減、40年度に同73%減とした。新削減目標は次期NDC(国が決定する貢献)として国連に提出した。

F 温対計画には、公共工事でのGX建機導入・普及、自治体の工事を施工する中小建設業へのICT施工普及をはじめ、建設産業の企業が取り組むべき多くの対策・施策を記載した。関連する政府実行計画では、建築物の資材製造から廃棄段階を含む解体に至るまでのライフサイクル(LC)全体でのGHG削減を打ち出した。閣議決定文書で、建築物のLCカーボン削減を明記したのは初めてだ。これは将来の建築物LCカーボン削減義務化に向けた布石と捉えることができるだろう。

 

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