JR東日本は、羽田空港アクセス線(仮称)の整備に伴う山手線や京浜東北線の線路切り替え工事を、東京都港区の田町駅周辺で実施した。19日午前0時から20日午前11時までの約35時間でJR社員470人を含め約1500人を動員して進めた。
施工は軌道工事を東鉄工業、土木工事は鉄建建設、電気工事を日本電設工業が担当。今回は土木が250人、軌道が620人、電気は140人が工事に当たった。
切り替え工事に当たっては、先に山手線引き上げ線を撤去し、できたスペースに新しい山手外回り線を先行して敷設している。今回の工事では、山手線外回りの長さ230mを最大で2.3m西側に移動させ、先行して敷設した線路と接続した。
京浜東北線南行は、約490mにわたり最大で2.6m西側に移動し、分岐機2組を含む約90mを新たに敷設することで、若干移動させた既存の山手線線路と接続させた。そのほか、京浜東北線のホーム縮小や山手線のホーム拡大も実施した。
JR東日本建設工事部の原田慎一マネージャーは「羽田空港アクセス線東山手ルートの整備に向けた1回目の線路切り替え工事となる。2023年の着工から、ようやく目に見える形で線路が移動するという点で、今回の工事は大変意義がある」と力を込める。
19日の工事では、山手線内回りと東海道線を営業させながらの工事となっただけに、原田氏は「両側の線路では電車が走っている中で作業を実施するため、安全に十分配慮しながら工事が進められるよう注力した」という。列車見張り員の配置や安全柵を設けるなど安全対策を講じたほか、「かなりの距離の線路を動かすため、限られた時間でしっかりと作業が終わるように綿密に計画を立てた」と話す。
今後、東海道線上りも西側に移動する。これらの線路切り替えで、東海道線上下線の間に用地を確保し、U型擁壁とトンネルを設けて羽田空港アクセス線を新設する予定だ。
同アクセス線は、田町駅付近と羽田空港を結ぶ空港アクセス鉄道新線となる。2023年時点での概算工事は約2800億円で、工事区間は港区芝浦一丁目から大田区羽田空港三丁目の工事延長12.4㎞。31年度の開業を目指す。