
まもなく午前0時。横になって一息つく。そういえば、金融機関からメールが届いていた。セキュリティー強化の案内らしい。最近は詐欺が多いと聞くし、念のため確認しておこうと思った◆ぼんやりした頭で情報を入力した。送信前、子どもの泣き声に意識をそらして画面に目を戻すと違和感に胸がざわついた。詐欺かもしれない。慌ててページを閉じたが、不安はしばらく消えなかった◆注意しているつもりでも、慣れや疲れが、ふとした拍子に足をすくう。自分一人の注意力には限界があると知った夜だった◆それ以来、スマートフォンを見ながら寝るのをやめた。光が消えると、頭の中が静かになる気がした。忙しさや疲れは小さな違和感を押し流し、ときに思いがけない事故を招く。ほんの一呼吸が、大切なものを守ってくれる。