
土木学会の報告によると、南海トラフ地震による推計被害額は1466兆円。にわかには信じがたいが、政府一般会計予算の10倍を超える規模だ◆学会は、インフラ整備などに58兆円以上を投じることで経済被害を約3割軽減でき、さらに対策費の約3倍の財政効果があると分析している。こうした専門家らの警鐘が、どの程度政策に反映されるのか気になるところだ◆1988年に設立された「気候変動に関する政府間パネル」には、世界中の気象学者などが参加し、地球温暖化による危機を訴え続けてきた。脱炭素化は今や世界的な潮流だが、その生みの親かもしれない◆地震や豪雨などの災害対策には、産学官民の連携が不可欠だ。政府が26年度に創設する「防災庁」では、地方拠点の設置を検討中だが、その実効性にも期待したい。