防災産業の育成要望/効率的なインフラ整備を/経団連が災害対策で提言 | 建設通信新聞Digital

6月18日 水曜日

団体

防災産業の育成要望/効率的なインフラ整備を/経団連が災害対策で提言

永野副会長(左)と坂井大臣
 経団連は16日、「巨大地震を見据えた防災・減災対策の充実に向けて 防災は『日頃から』『ともに』『スマートに』」と題した提言をまとめた。防災・減災対策の推進に向けた前提を示した上で、防災産業の育成やBCP(事業継続計画)の実効性確保、インフラ整備(国土強靱化の推進)など防災・減災対策の充実を求めている。同日、永野毅副会長らが坂井学防災担当相を訪ね提言を手渡した。 提言によると、インフラ整備(国土強靱化の推進)では、幹線道路のミッシングリンク早期解消やダブルネットワーク化の効率的な推進を求め、人件費や材料費の事業費高騰分は、政府予算により確実に措置されるべきとした。
 また、老朽インフラを放置せず、優先順位を付けて計画的に点検・再整備することが重要と強調した。整備に当たっては、ロボットやドローン、センサー、AI(人工知能)、3次元情報のデジタル技術を活用し、効率的で安全な実施を求めた。橋梁や歩道橋の耐震化、無電柱化、木造密集地域への対策など被害を最小限に抑える取り組みも、計画的な実施が必要としている。
 さらに、自治体ではインフラ整備を担う土木系・技術系の人材不足が深刻で、技術やノウハウの次世代への継承が課題だと指摘。労働環境の改善などによって人材確保や人材を定着させるとともに、民間の土木関連技術を自治体で活用することや、広域連携の推進により人材不足を補うことも検討すべきとした。
 防災産業の育成では、防災技術やサービスの開発・活用の促進に向け、企業が自社の取り組みを政府・自治体や他社と連携できる仕組みの強化を提言。発災時の迅速な道路啓開に向け、各建設企業が作業すべき場所を可能な限り明確化し、道路啓開情報をリアルタイムに提供する体制の構築なども訴えている。2026年度中設置予定の防災庁に対しては、効果的な防災・減災対策は民間の持つ力の最大限活用が望ましく、今後の議論は経済界の意見も踏まえて検討することに期待を寄せた。