【BIM2025④】大塚商会 数値情報で3次元モデルを自動生成/設計効率化、LEVEL-2対応支援 | 建設通信新聞Digital

7月4日 金曜日

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【BIM2025④】大塚商会 数値情報で3次元モデルを自動生成/設計効率化、LEVEL-2対応支援

大塚商会は、BIM/CIMの3次元設計を支援する自動化ソリューションを提供している。BIM/CIMが普及する上で最大のネックである設計オペレーションの難易度の高さを克服するため、オートデスク『Dynamo』、ダッソー・システムズ『3DEXPERIENCE CATIA』の二つのソフトウェアで、数値情報を活用してモデリングを自動化し、設計プロセスを改善する。

馬場氏(左)と大福氏


土木設計者へのBIM/CIM普及が遅れている理由として、長時間労働の慢性化により新技術の習得が難しく3次元モデルの作成を外注に頼っている状況がある。2次元で設計を行い、その図面をもとに3次元化するため、変更の度にモデルを修正しなければならずBIM/CIM本来の効果を得られていないのが課題だ。一方、国土交通省は、BIM/CIMによるデータ連携を自動化するため、主構造の図面とモデルが整合するLEVEL-2対応の3次元設計を試行しており、将来的に一般化する方針を打ち出している。

土木設計者の3次元設計への対応を支援するため、大塚商会は、DynamoやCATIAを活用し、数値情報を活用した3次元モデルの自動生成や、出力する図面の寸法作図を自動化する手法をそれぞれのソフトウェアで確立した。同社PLMソリューション営業部プロジェクトPLM1課の馬場真郎専任課長は「設計の手間を減らし、正しいモデルを誰もが簡単に作成することで設計業務の効率化と品質向上につなげたい」と意図を語る。

具体的には、コード不要のビジュアルプログラミングツールであるDynamoを活用し、構造諸元寸法をまとめたExcelと、オートデスクCivil3DやRevitと連携し、単純なデータ入力やルーティンワーク作業の自動化、操作品質のばらつきなどを解消する。

設計者は、構造計算などのために諸元寸法をExcelで管理することが多く、「そのデータを再利用してパラメトリックファミリのプロパティにExcelデータを自動でインプットし、3次元モデルを生成する」(大福浩之同部首都圏PLMサポート2課課長)。さらに3次元モデルから出力する図面に寸法線を表記するため、寸法指示ルールをファミリに埋め込み、Dynamoと通じて自動作図する。

Dynamoによる3次元モデルの自動生成


一方、CATIAは、航空宇宙や自動車などの製造分野で利用されているハイエンド3次元CADであり、その高度なパラメトリック機能を活用し、構造物の「外形状モデル」、配筋などの入った「詳細モデル」「図面」をセットにした『エンジニアリングテンプレート』を用いて3次元モデリングを自動生成する。例えばボックスカルバートでは、設計区間やセグメントピッチなどをパラメータに設定し、線形に割り付ければ鉄筋入りの各セグメントモデルを自動生成する。

Dynamoによるノードの作成や、日本の利用者が限られるCATIAを活用するには専門知識の習得が必要なため、大塚商会は各種支援サービスを用意している。「Dynamoスタートアップサービス」では、サンプルプログラムを使いDynamoの概念や基本操作を3.5時間という短期間で学ぶことができる。「Dynamo実践支援サービス」は、受講者が実際の業務で活用することを想定し、要件をヒアリングしてDynamoプログラム作成支援を行う。CATIA向けサービスは2024年度に立ち上げ、橋脚モデルを作成する基本操作や配筋モデルの操作方法などを学習できるほか、個別業務に合わせたテンプレートの設計支援サービスを提供する。

同社では、4年前からCATIAを活用する製造業系エンジニアとRevitとCivil3Dを専門にする土木系エンジニアがチームを組み、協力して顧客サポートに取り組んできた。国交省のBIM/CIM推進に合わせて支援事業を本格化した。

今後の3次元設計の普及のポイントについて馬場氏は「自動モデリングするファミリのテンプレートを増やし、部署間ひいては会社間の協調領域としてモデルを相互利用できる環境づくりを支援したい。そうすることが価値の最大化につながる」と語る。大福氏は「設計プロセスを改善して業務効率化するために3次元設計に取り組む顧客が増えている。より便利な手法を確立し、お客さまの生産性向上に貢献したい」と力を込める。

CATIAのエンジニアリングテンプレート



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