【BIM2025(25)】タイワ BIMデータからトラック配送計画 | 建設通信新聞Digital

7月18日 金曜日

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【BIM2025(25)】タイワ BIMデータからトラック配送計画

近藤氏

建築鉄骨ファブリケーターに向けて「3次元データ活用のハードルを少しずつ取り除いていくことが当社の役割」と語るのは、タイワの近藤健司社長だ。同社の鉄骨汎用CAD『実寸法師』を導入する企業は2500社を超え、このうち建築系が約5割を占める。実寸法師は鉄骨専用CADを補完する役割として、2次部材などの収まりを担うスタンダートツールとして定着している。近年はゼネコンのBIM導入拡大を見据え、3次元機能の強化を図ってきた。

2018年にリリースした『実寸法師3D』は、操作性をそのままに3次元の図面表示や3次元モデルの作成・編集を可能にした。鉄骨専用CADがBIM対応を強化する中で、汎用CADとして国内で初めて3次元対応を実現した。「ただ、鉄骨製作に3次元データを利活用するファブリケーターはまだほんの一握りに過ぎない」と明かす。

背景には「ゼネコンから提供されるBIMデータの粒度では鉄骨製作に対応できない」現状がある。実寸法師3Dは着実に採用数を伸ばしているが、「3次元データの利活用に悩むユーザーは少なくない」という。

実寸法師は、独自のプログラム言語でシステムを形成している。「当社の強みはユーザーの要求を具現化するカスタマイズ力」と強調するように、システム開発やサポートの体制を拡充し、ユーザーからの多様な要求に対応している。「最近は生産管理システムとの連携を相談する声もあり、加工や配送にもデータを活用したいとの意識も出てきた」と手応えを口にする。

今年3月には、実寸法師3Dの別売りオプションとして、BIMデータを使ったトラック積載の3次元シミュレーションツール『積載計画』をリリースした。「BIMデータの粒度では製作工程への活用が難しいが、鉄骨重量の算出には十分に活用ができる」ことから、現場への配送計画だけでなく、保管ヤードの管理ツールとしても活用を期待している。積載データから各種帳票を出力できる点も注目すべきポイントの1つだ。

近藤氏は「加工から配送までの一貫した3次元データ活用が理想的な姿だが、着実に一歩ずつユーザーのニーズを形にしながらBIMデータ活用の流れを後押ししたい」と強調する。実寸法師は鉄骨ファブリケーターのBIMデータ活用を導く存在としても成長を始めた。

実寸法師3Dオプション『積載計画』リリース



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