【BIM2022 日本ファブテック】Sグレード引き合い増え機能拡充 | 建設通信新聞Digital

5月15日 水曜日

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【BIM2022 日本ファブテック】Sグレード引き合い増え機能拡充

播磨氏

 日本ファブテックのBIM対応鉄骨専用CAD『KAPシステム』への引き合いが活発になっている。2021年度の新規契約実績は前年度を大きく上回る50ライセンスを確保した。累計の導入企業数は118社に達し、契約総数は350ライセンスを超えた。鉄構事業本部の播磨裕敏KAP・EGリング事業部長は「Sグレード鉄骨ファブリケーターからの問い合わせも拡大している」と明かす。
 その背景には、大手・準大手ゼネコンでBIMの導入が拡大している状況がある。コロナ禍で建設マーケットの不透明感が漂うものの、首都圏では依然として大型プロジェクトの建設需要が一定程度あり、鉄骨ファブがゼネコンへのBIM対応ツールとしてKAPシステムの導入を推し進める流れになっている。
 全国10数社に達するSグレード工場をもつ鉄骨ファブには既に導入済みが多いものの、未導入の企業も検討に乗り出してきた。そうしたSグレード工場からの需要を見据え、KAPシステムの新機能として「超高層建築の柱部材であるBOX専用仕口のメニュー開発も進めている」という。
 ゼネコン側も鉄骨積算のツールとしてKAPシステムの導入が進む。先行する清水建設では、標準BIMソフトとして使うオートデスクのRevitとKAPシステムのデータ連携を加速している。日本ファブテックはKAPシステムを使って清水建設の鉄骨積算業務も担っており、21年度の積算数量は鉄骨量換算して前年度より30万t多い90万tを超える数量にも達した。
 スタートして1年が経過した新サービス『KAPクラウド』も使用率が上がり、ゼネコンでの活用が広がりを見せ始めている。鉄骨の積算や製造発注から現場管理に至る一連の業務のプラットフォームとして、関連情報を各社のフォーマットに合わせて出力できることから、生産性向上の一環として本格導入するゼネコンも出てきた。
 1年前に実現したタイワ(愛媛県新居浜市)の汎用CAD『実寸法師』とKAPシステムのデータ連携も評判が高いという。実寸法師3D上で作成したデータをKAPの3次元データとして変換でき、BIM対応を求められる鉄骨ファブ側の業務ツールとして活用が進んでいる。
 日本ファブテックがことし1月に市場投入した鉄骨梁貫通孔補強工法『EGリング』の新製品Zタイプについても、既にKAPシステム対応を完了している。播磨氏は「ゼネコンのBIM導入が急拡大する中で、これからもタイムリーに機能強化を進めていく」と強調する。

KAPシステムと実寸法師の連携も好評



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