日本建築構造技術者協会東北支部(JSCA東北、成田諭支部長)は5日、仙台市のエルパーク仙台で第10回構造デザイン交流会2025を開いた。構造デザインコンテストは、ヒアリング審査した10作品の中から、井戸川達哉さん(東北三興設計事務所)と丹伊田大作さん(マド建築綜合設計)の『双曲庵 みちゆひ』を最優秀賞に選んだ。
コンテストのテーマは、大阪・関西万博会場に、東北6県の代表的な祭りが集まる「東北六魂祭」関連の展示物を観覧できる延べ1000-1500㎡程度の屋根付きパビリオンを設定した。審査は小野田泰明委員長(東北大大学院教授・日本建築学会会長)ら5人が担当した。
最優秀賞の『双曲庵』は、大屋根リングの中に来場者が入り込める展示施設を提案した。中央に鉄骨の直線部材でつくる双曲面の柱の構造体に、膜屋根と半透明の樹脂幕の壁で構成する。構造体の中心は光の通り道となるボイド(吹き抜け)となっており、構造体の柱に沿って、らせん状のスロープを設けることで、回遊性の高い立体的な展示空間を構築するとした。
小野田委員長は、最優秀作品について「唯一の社会人からの応募だった。プロとして完成度の高さと構造の美しさをしっかりと表していた」と講評を述べた。
交流会は、百野泰樹大林組設計本部構造設計第三部構造設計課長が「高層純木造耐火建築『Port Plus』を通じて考えたこと」と題して講演したほか、成田支部長ら4人が構造設計上のアイデアや工夫などを紹介した。
優秀賞は『六魂架 多彩な東北が結束し、共に支え合うかたち』(粕谷優氏、内田光樹氏、菊池健吾氏、いずれも東北大)と、『魂々流転』(古田淳貴氏、新堀赳流氏、パクジュンソク氏、阿保伸尭氏、中野弘貴氏、同)だった。『魂々流転』は聴講者最多得点賞も受賞した。
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