【3次元測位、高層ビル現場に活用】人流分析にも拡大目指す/MetCom | 建設通信新聞Digital

9月3日 水曜日

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【3次元測位、高層ビル現場に活用】人流分析にも拡大目指す/MetCom

荒木氏


 MetCom(東京都中央区)は、3次元の高精度測位サービスを提供している。共同創業者で取締役の荒木健吉氏は「地図と測位はセットだ。大航海時代の航海では、海図を見るとともに、コンパスや天体観測の技術で船の現在地を測ることが必要だった。それと同様に、土地や建物の3次元データ作成・活用が広がるとともに、3次元測位サービスの必要性は高まる」と展望する。

 同社の設立は2019年。メトロポリタン・ビーコン・システム(MBS)技術を使った事業を展開する米NextNav社が日本での展開を目指す中で、電波に関する知見を持つ荒木氏らが集い創業した。

 MBSは、地上基地局ネットワークによる電波と、気圧分析を組み合わせて3次元位置情報を測る。GPS(全地球測位システム)に比べると、高さの測位が可能なことに加え、屋内や地下での可用性の高さ、「軍事紛争地域などでは今や頻繁に発生している」という電波のジャミング(妨害)やスプーフィング(なりすまし)への耐性の高さも強みだ。現在は地上基地局整備に必要な電波免許の申請準備中で、気圧分析を活用した垂直測位サービスを提供している。

 垂直測位サービスは顧客の要望を聞き、ソフトウエア開発会社と連携してカスタマイズし提供する。現在多くのスマートフォンに搭載される気圧センサーと、同社が対象エリアに設置した基準点の気圧計データにより高さを測り、さらにGPS測位を組み合わせて3次元で位置情報を取得する。基本的にはスマートフォンにアプリをインストールすれば使用可能だ。

同社提供の垂直測位サービス「Pinnacle」の概要


 建設関連では高層ビル工事現場でのニーズが高い。「GPSのみでは高さの情報が得にくいため、誰が現場のどこにいるか把握できず、連絡を取りたいと思っても『電話をして大丈夫な状況だろうか』とためらい意思疎通が遅れてしまう場合がある。ビーコンで把握しようとすると、工事進捗(しんちょく)に合わせて装置の場所を変更する手間が生じる。これらの課題を解決できる点が評価を受けている」と説明する。

 現在、人流分析への利活用拡大を目指し、国土交通省の「令和6年度人流データにおける先進技術活用検討調査業務」に参画している。災害や火災時に高層ビル内から人を避難させるシミュレーションへの活用などを想定する。

 

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