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9月24日 水曜日

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【BIM/CIM未来図】九州電技開発(中) 疑問解消しながら業務と向き合う/大塚商会のサポートが力に

九州電技開発の配電土木グループでは、福岡市の中心部における電力供給ルート整備に伴う調査・設計業務を受注したことが、BIM/CIMに取り組むきっかけになった。業務を担当した蝶高志課長、平井貴明係長、坂本望美係長の3人は初めてのBIM/CIMツールに向き合いながら、着実に操作スキルを磨いてきた。

橋梁下越しモデル

業務に着手した2022年2月のタイミングには、大塚商会のBIM/CIM研修を受講し、採用を決めたオートデスクのBIM/CIM関連ツールの基本操作を一通り学んだ。業務を進める中で操作の疑問が生じた場合には、大塚商会が提供する業務サポートサービス『たよれーる』を積極的に活用した。

その中でも「BIM/CIMテレホンサポート」は豊富な業務経験を持つCADエンジニアに電話で業務上の困りごとを相談できることから、3人は業務開始当初だけでなく、現在もなお有効活用しているという。社内標準設計ツールに位置付けるAutoCADの活用経験が3年あった坂本氏は「実際の業務に当てはめてツール操作の疑問点を聞くことができ、このサービスのおかげで円滑に業務を進めることができている」と強調する。

BIM/CIM研修ではテキストに沿ってツールの使い方をマスターしていったが、実際の業務ではゼロからツールを設定する必要がある。テレホンサポートではパソコンの画面を共有しながら質問していくスタイルになるため、ピンポイントで疑問点を解消することができる。「1回当たり1時間ほどの説明を聞き、週1ペースで利用してきた」と振り返る。

大塚商会には案件ごとにモデルを構築するため、業務内容を細かく伝え、業務の流れに沿った操作テキストも作成してもらった。電力施設と管路の立ち上げ部分を担当した平井氏は土木設計ツール『Civil 3D』を活用し、電力ケーブル1本まで細かくモデリングしながら収まりを確認してきた。「AutoCADとCivil 3Dの操作感が似ている点でも覚えやすかった」と振り返る。

建物との取り合い部分をBIMソフト『Revit』を使って取り組んできた坂本氏は「自分の頭でイメージしながら設計できることが3次元設計の進め方だけに、まずモデルを作っていこうという意識が芽生えた」ことを実感している。推進管内の配管設置部分で3次元によって取り付けやすさを細かな部分まで追求してきた平井氏も「施工や維持管理の次工程を意識しながら設計する大切さを改めて感じた」と強調する。

電力施設の接続部を起点に推進工より長さ約120m地点まで掘り進める第1期工事区間では平井氏がCivil 3D、坂本氏がRevit、そして蝶氏がモデル統合を担う明確な役割分担で業務に取り組んできた。現在進行中の長さ約250mの第2工事区間では、3人とも各ツールの操作を一通り習得したことから、あえて担当を決めず、それぞれのスケジュールに沿って作業を進める流れに変えた。

架台3次元モデル


業務は、先行的にAutoCADを使って2次元で先行的に設計を進め、成果となる平面図と縦断図をCivil 3Dで統合して3次元化を進めている。蝶氏は「設計変更が出てきた場合、2次元に戻って修正した上で再度3次元化する流れになるが、将来的には最初から3次元設計に取り組み、より効率的に業務を進める流れを確立したい」と先を見据えている。福岡市中心部の調査・設計業務をきっかけに、グループ内では他の担当者にも3次元スキルを学ばせる動きが出てきた。



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