元請工事の価格転嫁「変更条項あり」約6割/協議拒否も依然存在/国交省調査 | 建設通信新聞Digital

10月16日 木曜日

行政

元請工事の価格転嫁「変更条項あり」約6割/協議拒否も依然存在/国交省調査

元請工事の契約での変更条項の有無
 民間工事を対象とした国土交通省の調査によると、元請け工事の契約で物価高騰に対応する変更条項があったと回答した建設会社は約6割に上った。改正建設業法に基づき2024年12月から価格転嫁を円滑化するルールが施行。前年度調査と比べて変更条項ありと回答した割合は増加したものの、変更協議に応じてもらえない会社も依然として確認されるなど、供給網全体での価格転嫁の徹底が引き続き求められている。 調査は民間工事の工期設定の実態把握などを目的に実施。23年12月以降に請け負った工事について25年1月時点の状況を聞き、建設会社1602社から回答を得た。
 24年12月に施行した改正法の規定で、資材高騰に伴う請負代金の変更方法が契約書の法定記載事項に位置付けられた。受注者によるおそれ情報の通知義務や注文者による誠実協議の努力義務など、価格転嫁を円滑化するルールの運用が始まっている。
 改正法の価格転嫁ルールについて、「内容を知っている」と回答した会社は59.8%だった。規模が大きい会社ほど認知度は高い傾向にあり、完工高5000万円未満の会社では22.4%にとどまった。
 元請けとして契約した工事で、契約変更条項が「全てあった」または「おおむねあった」と回答した割合は60.2%となり、前年度調査から10.2%増加した。調査対象には改正法施行前に契約した工事も含まれている。公共工事中心の会社で条項があったと回答した割合は66.1%だったのに対し、民間工事主体の会社は49.5%と差が見られた。
 物価高騰により注文者と変更協議をした会社は41.7%。このうち「全て変更された」は22.5%にとどまり、「一部変更された」が72.3%と過半を占めた。「申し出たが応じてもらえなかった」も10.5%に上った。
 調査では発注者となる民間企業66社からも回答を集めた。価格転嫁ルールを把握している発注者は93.2%で、建設会社と比べ認知度は高かった。
 発注工事で価格変更条項があると回答した割合は66.1%で、前年度から10.9%増えた。実際に受注者と変更協議した会社は75.5%で、このうち「全て変更した」は27.0%、「一部変更した」は59.5%だった。