【量から質への転換急務/人が集まる施設で地域活力維持/アール・アイ・エー 梅澤隆(うめざわ・たかし)社長】
人口減少が進む中、各地で地域のにぎわい創出に向けた多彩なまちづくりが進んでいる。そうしたまちの未来に影を落としているのが昨今の建設費高騰だ。これを踏まえ、「これからの再開発事業には、量から質への転換が求められている。これまでの仕組みや制度自体を見直す時期に来ているのではないか」とアール・アイ・エーの梅澤隆社長は指摘する。
“質”を考える上で重要なキーワードが「人が集まる」ことだ。そのために有効な用途として「図書館」「屋内外広場」が挙げられるという。例えば街中の公共施設を見ると、「ちょっとしたところにある机や椅子が若者やシニア層で埋まっている。昨今進化している図書館は最たるものであり、まちづくりに理想的だ」とし、同社では図書館機能を意図的・積極的に再開発へ導入することを提案している。
地域の活力を維持していくために、「人が集まる施設」は地域からも求められ、必要とされている。だからこそ、建設費高騰によりプロジェクトを中止せざるを得ないという状況を傍観するのではなく、「必要なものを当たり前につくっていける仕組みを整えていかなければならない」と思いを新たにする。
“にぎわいの先”の仕掛けづくりも大切だ。地域の人たちが能動的に「まちづくりに参加できる拠点」を再開発施設内はもちろん、地域の随所に設けることで、「にぎわいが“点”から“面”に広がり、このまちに『住み続けたい』『住みたい』と思ってもらえる」と確信している。
その拠点は趣味の集まりでも防災を考える会でも、「テーマは何でも良い。まちを良くしたいと考える人同士が出会い、つながる場を提供する。まちの中にそうした拠点があることで、これまでまちづくりを意識したことがなかった人が参加する“きっかけ”にもなり得る」と強調する。
今後、さらなる人口減少が見込まれる中、まちのにぎわいを維持することは可能なのか。その問いに梅澤社長は、「公共の予算が減っていく中でも、庁舎や学校、病院など、なくてはならない公共施設の建て替えや改修はなくならない」と前置きした上で、「市場規模の縮小も予想される中、まちになくてはならない機能を維持するためには、官民連携が不可欠な時代になっていくはずだ」と力を込める。それは「官民の境のない施設がつくられるということ。互いに協力し合うことで、より豊かな暮らしの実現につながると感じている。新しいタイプの施設が登場する」とみる。
また、人口が減って市場規模が縮小した社会では、「まちの姿を昔のままに再生することだけが正解ではない」と指摘。例えばシャッター街なら、にぎわいあふれていた時代の商店街の形に再生するのではなく、「学生や若者が住み、街の人々と交流する長屋状の施設にリニューアルしても良いはずだ」と主張する。
地域の活力を維持するためには、変わっていかなければならない。それこそが、新時代のまちづくりだ。
【業績メモ】
売り上げは直近数年間、上昇傾向にあり、再開発関連の業務依頼は途切れることがないという。工事費高騰のあおりを受けて延期するプロジェクトも出てきているが、全体としては変わらず堅調な状況が続いている。市街地再開発事業のパイオニアとして、常に新たな再開発の在り方を探求していく。
人口減少が進む中、各地で地域のにぎわい創出に向けた多彩なまちづくりが進んでいる。そうしたまちの未来に影を落としているのが昨今の建設費高騰だ。これを踏まえ、「これからの再開発事業には、量から質への転換が求められている。これまでの仕組みや制度自体を見直す時期に来ているのではないか」とアール・アイ・エーの梅澤隆社長は指摘する。
“質”を考える上で重要なキーワードが「人が集まる」ことだ。そのために有効な用途として「図書館」「屋内外広場」が挙げられるという。例えば街中の公共施設を見ると、「ちょっとしたところにある机や椅子が若者やシニア層で埋まっている。昨今進化している図書館は最たるものであり、まちづくりに理想的だ」とし、同社では図書館機能を意図的・積極的に再開発へ導入することを提案している。
地域の活力を維持していくために、「人が集まる施設」は地域からも求められ、必要とされている。だからこそ、建設費高騰によりプロジェクトを中止せざるを得ないという状況を傍観するのではなく、「必要なものを当たり前につくっていける仕組みを整えていかなければならない」と思いを新たにする。
“にぎわいの先”の仕掛けづくりも大切だ。地域の人たちが能動的に「まちづくりに参加できる拠点」を再開発施設内はもちろん、地域の随所に設けることで、「にぎわいが“点”から“面”に広がり、このまちに『住み続けたい』『住みたい』と思ってもらえる」と確信している。
その拠点は趣味の集まりでも防災を考える会でも、「テーマは何でも良い。まちを良くしたいと考える人同士が出会い、つながる場を提供する。まちの中にそうした拠点があることで、これまでまちづくりを意識したことがなかった人が参加する“きっかけ”にもなり得る」と強調する。
今後、さらなる人口減少が見込まれる中、まちのにぎわいを維持することは可能なのか。その問いに梅澤社長は、「公共の予算が減っていく中でも、庁舎や学校、病院など、なくてはならない公共施設の建て替えや改修はなくならない」と前置きした上で、「市場規模の縮小も予想される中、まちになくてはならない機能を維持するためには、官民連携が不可欠な時代になっていくはずだ」と力を込める。それは「官民の境のない施設がつくられるということ。互いに協力し合うことで、より豊かな暮らしの実現につながると感じている。新しいタイプの施設が登場する」とみる。
また、人口が減って市場規模が縮小した社会では、「まちの姿を昔のままに再生することだけが正解ではない」と指摘。例えばシャッター街なら、にぎわいあふれていた時代の商店街の形に再生するのではなく、「学生や若者が住み、街の人々と交流する長屋状の施設にリニューアルしても良いはずだ」と主張する。
地域の活力を維持するためには、変わっていかなければならない。それこそが、新時代のまちづくりだ。
【業績メモ】
売り上げは直近数年間、上昇傾向にあり、再開発関連の業務依頼は途切れることがないという。工事費高騰のあおりを受けて延期するプロジェクトも出てきているが、全体としては変わらず堅調な状況が続いている。市街地再開発事業のパイオニアとして、常に新たな再開発の在り方を探求していく。













