準大手ゼネコンのラウンドテーブルには、安藤ハザマ、奥村組、鴻池組、高松建設、鉄建建設、東洋建設、戸田建設、西松建設、三井住友建設のBIM推進担当が参加した。主催したオートデスクの羽山拓也技術営業本部長が「BIMを軸にした業務プロセス改革を進める中で、多くのゼネコンが関連部門に横串を刺す組織を置いている」と説明したように、意見交換では準大手各社がBIMデータ活用を進めていく上で、最適な組織とは何かを模索し続けている状況も浮き彫りになった。
安藤ハザマは今年4月に設計、設備、施工の各部門をつなぐ組織として建築事業本部の中にBIM推進部を発足した。以前、集約していたBIM推進担当を各部門の推進役として配置したが、それを再構築した形だ。西松建設では2024年4月に建築事業本部の中に各部門でBIM推進を担っていた人材を集約したデジタルコンストラクションセンターを設置し、今年4月にはDX戦略室と技術研究所を統合した技術戦略室をコーポレート部門に発足させた。
施工現場の8割でBIMを活用し、30年までに生産性を15%向上させる必要性を試算している鴻池組の小川雅史執行役員技術本部長は「東京と大阪の生産支援部門を軸にしているが、昨年ぐらいから地方支店にもBIM担当を置いて取り組み始め、着実に組織のBIM対応力を高めている」と説明した。
今年4月からICT統括センターのBIM推進室を建築本部の中に移管した奥村組の脇田明幸BIM推進室長は「同時に推進メンバーを現業部門にも配置し、各部門の成果を集約する役割として活動を始めた」と強調した。技術部門にあったBIM推進室を4月に発足した集中支援部の中に位置付けた鉄建建設の松本賢二郎BIM推進室長は「社内横断的な役割が強まり、設計から施工にデータを連携させる流れをつくるため、ファーストBIMモデルの取り組むも始めた」と語った。
東洋建設の前田哲哉DXデザイングループ長が「施工のプロセスが図面を詳細化していく流れに対し、設計は推敲(すいこう)する流れになる。最初からBIMに取り組む設計の流れをきちんと整えることが重要になってくる」と語ったように、各社は設計から施工へのデータ連携についても重要視している。
共通課題としてあるのはフロントローディングの流れをどう定着させるかだ。業務プロセスを清流化する検証に着手している三井住友建設の戸倉健太郎建築本部兼建築DX推進部部長は「BIMをコラボレーションのツールとして位置付けることが大切」と説明し、高松建設の澤村等東京本店技術本部BIM推進室部長も「施工BIMを展開する上でフロントローディングの確立を重要視していく」と付け加えた。
オートデスクは、建築設計事務所や設備工事会社、建設コンサルタントなど業界ごとにBIMデータ活用の考え方を共有する場としてラウンドテーブルを定期的に開いている。準大手ゼネコンを対象とした今回の意見交換は、設計から施工へのBIMデータ連携の実現に向けた各社の共通課題が示された。26年春からは建築確認申請のBIM図面審査がスタートする。参加者からは「モデルから出力した図面の提出を前提にしていく」との声が上がる。3年後の29年春に控えたBIMデータ審査も見据えており、準大手各社のBIMデータ活用は新たなフェーズに入ろうとしている。
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