【記者座談会】都内の地下鉄事業に動き/未来の道路の姿は? | 建設通信新聞Digital

11月14日 金曜日

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【記者座談会】都内の地下鉄事業に動き/未来の道路の姿は?

◇大江戸線延伸、臨海地域地下鉄に高まる期待

A 都内で延伸や新設が計画されている地下鉄・鉄道事業に最近動きがあったね。

B 10月に都が、都営地下鉄大江戸線延伸事業の検討状況を公表した。着工や開業の時期は未定だが、練馬区内に3駅を設置した場合の収支採算性の算定など、沿線まちづくりの具体化を含めた事業実現への方向を示した。

C 新駅の設置が想定される地域は「陸の孤島」と呼ばれる場所もあり、地域住民からは一日も早い開業を望む声が強い。練馬区に限らず、清瀬市は独自に新駅建設推進期成同盟会の設立に向けた準備会を開き、埼玉県新座市では新駅周辺の将来イメージ図を作成するなど、周辺地域でも期待感は高まっている。

B 臨海地域地下鉄も期待が高まる路線だ。5日に開かれた「都心・臨海地下鉄新線推進大会」には、国会議員や中央・江東両区の幹部、「つくばエクスプレスと都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟会」からも会長を務める茨城県守谷市の松丸修久市長ら多く関係者が出席し、早期事業化を国に求める大会決議を採択した。

C 東京駅から築地市場跡地などを経由し、有明・東京ビッグサイトに至る計画だ。東京駅でつくばエクスプレスや、羽田空港との接続も検討されている。2024年は都と鉄道関連事業者などが事業計画の検討に合意するなど目に見えた成果があったが、25年は階段の踊り場と言える。

B 都内に鉄道をつくり過ぎとの指摘もあるが、中央区の吉田不曇副区長は「日本の将来にとって有効な路線だ。国に働き掛けたい」と意欲を燃やす。10月には東急多摩川線蒲田駅と京急空港線京急蒲田駅付近を結ぶ新空港線(蒲蒲線)も本格始動するなど、東京の交通ネットワークの未来像が見えつつある。

 

◇社会課題解決へ道路の評価軸も変化

日本道路会議では持続可能性や安全など、流通にとどまらない社会課題に関わるテーマも議論した


A 交通に関連するが、首都高速道路をはじめ、高速道路の更新が日本各地で進んでいる。老朽化対策は喫緊の課題だか、道路を巡る他の課題も考えてみたい。

D 6、7日に開かれた日本道路会議では、「速達性や安定性」だけでなく、持続可能性や安全、地域への貢献といったテーマが目立った。流通にとどまらず、景観や観光、高齢者の福祉など、道路を評価する基準が変化しつつあると感じた。

E 持続可能な社会を構成するインフラの一つとして、沿線のコミュニティーや暮らしにどう貢献できるかという問題意識が大きくなっている。ICTの活用によるモニタリングやデータ管理の仕組みも整い始め、道路は輸送システムだけでなく、社会課題の解決策も提供し得ると言える。

A 技術開発も進んでいるの。

D 9日に閉幕したジャパンモビリティショーで、未来を具現化するテーマ展示を取材してきた。中でも、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスに関する展示は注目されていた。他にも、路面上を走るだけで給電できる舗装技術、空飛ぶクルマなどは具体化に向けて大きく進展している印象を受けた。

E 一方で自動運転には、ジャンクションの安全な通行など、実証が必要なハードルも残るという。運用面では、運転手不在で発生した火災の対応など、思わずハッとさせられる問題もある。新しい技術を実装するには、単にハードや技術だけでは完結しないということを改めて感じた。

A 路面は一見して変化がなさそうでも、実は社会や技術の変化をしっかり映し出している。道路の新しい使い方を含めて、暮らしの中での役割を見つめ直す時期に来ているのかもしれない。

 

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