【記者座談会】国交省が技術者制度の第2期検討/全建協連、「人と企業」への分配要望 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【記者座談会】国交省が技術者制度の第2期検討/全建協連、「人と企業」への分配要望

A 国土交通省の技術者制度検討会が第2期として再始動した。開催に至った経緯や狙いはどうか。

B 第1期は、2014年から17年までの3年間に検討を重ね、監理技術者の現場兼務を可能とする緩和措置や技術検定の再編といった建設業法の改正につなげた。第2期は、未対応となっている課題の早期解決に向けて検討を進めるという位置付けだ。

C ICT活用などによる監理技術者の専任要件や資格取得の前提である実務経験の年数が議論の焦点となる。見直しを進めることで急速なデジタル化の進展や入職者不足、若年層の離職といった課題に対応する狙いがある。

D 生産性向上は急務であり、制度の合理化は早期に実現すべきだ。一方で、現行の規制を設けた背景をよく理解した上での検討が必要だ。国交省の会議ではないが、政府のある検討会では建設業の非実務者から「規制=障壁」であるかのような指摘がなされていた。

B 安全、そして品質がすべてに優先されるという前提を決して忘れないでほしい。最近は施工不良問題や技術検定の不正受検なども浮上しており、過度な規制緩和は不良・不適格業者に参入の隙を与えかねない。他産業とは異なる建設生産プロセスの特徴を押さえた改善とすべきだ。

C 国交省の検討会は小澤一雅座長を始め、プロフェッショナルで構成しており、拙速な見直しとはならないはず。先に述べた課題を確実に解決できる答えを期待したい。

D 技術者制度は重要な仕組みであるだけに難解な部分も多々ある。現行制度を十分に理解していないがために、非効率な技術者配置をしてしまう企業もあると聞く。制度の改善だけでなく、分かりやすい周知もポイントの1つかもしれないね。

先手、先手で前年上回る対策を

全建協連の会見。労務単価への特例措置や調査基準価格の見直しを要望した

A 今週は、全国建設業協同組合連合会(全建協連)が2つの政策提言を発表したね。岸田内閣の方針を念頭に、人と企業への分配を訴えたようだけど。

B 現場で働く人に直結する労務単価と、元請企業に影響する低入札調査制度に関する2点だ。21年は緊急事態宣言などの自粛期間が前年よりも長期化したことから、単価設定の根幹となる労務費調査の結果が、より厳しいものになるだろうと警鐘を鳴らした。青柳剛会長は「先手、先手で準備しておかなければならない」とし、単価下落職種に据え置き措置を講じた前年を上回る対策を求めた。

C 実現すれば、調査基準価格の見直しも業界全体に大きなインパクトを与える。現行の中央公契連モデルは、「直接工事費×0.97」「共通仮設費×0.9」「現場管理費×0.9」「一般管理費等×0.55」の合計額に1.08を乗じ、調査基準価格を算出している。そして、それとは別に予定価格の「75%-92%」の間で基準価格を設定するという範囲規定がある。

B 全建協連は、低さが際立つ一般管理費率を他と同等の「10分の9」に引き上げるよう要望した。一般管理費は本支店経費で、いわゆる管理部門の経費に当たる。藏谷伸一副会長は「現場をサポートする内勤への配慮が足りないのでは」と疑問を呈した。成長と分配は当然、成長が先にあっての分配が理想的だ。i-Constructionを始めとする生産性向上の取り組みを成長と捉え、それを支えてきた管理部門にも分配すべきというロジックだ。同時に範囲規定の見直しも求める。

D 現行の算定式でも案件によっては、予定価格の92%を超えるケースがあるものの、規定によって“頭切り”されている。事実、全建協連幹部の活動は、19年度に実現した設定範囲の引き上げに一役買った。その実績があるだけに今後の動向が注目される。

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