日刊建設通信新聞社は、エビリー(東京都渋谷区)の協力を得て、全国展開するゼネコン25社の公式ユーチューブチャンネルで公開された動画の視聴回数をランキングにした。5分超の動画では、西松建設の「西松建設150周年特別ムービー『新人西松さんとまかせられる人』」が1位を獲得。再生回数は47万2496回で2位以下と大差を付けた。エビリーの担当者は「ランキング上位で視聴されている動画は、物語風に展開されているものが多い」と最近のトレンドを分析する。
ユーチューブ運用のコンサルティングを手掛けるエビリーのデータ分析ツール『kamui tracker(カムイトラッカー)』を使った。抽出されたゼネコン25社の公式チャンネルで公開された動画を対象に9月13日時点のランキングを作成した。「5分以内」「5分超」の2分類で過去約6ヶ月間(3月17日-9月13日)に再生された視聴回数を順位付けした。
5分超の分類で1位を獲得した西松建設の動画は、俳優の清水くるみさんが演じる新人女子社員が150年史を振り返り、同社が施工した工事を通して、先人たちの思いを継承し、未来へ向かっていく約6分間のストーリーだ。
同社の平山勝基管理本部広報部長は、5月の150周年パーティー時に初めて披露した、この動画について、「参加者から『感動した』『涙が出た』との声を多数いただいた。当社の歩みを小細工なしで直球表現したことで多くの共感が得られたのではないか」と推察する。その上で、「今後もクオリティーの高い作品を世の中に発表し、西松ファンの獲得はもとより、ひいては建設業の魅力向上に努めたい」と力を込める。
次いで2位は、鉄建建設の「難易度MAX『JR渋谷駅、最後の大規模切り換え工事』52時間でミッションを完遂せよ!/JR渋谷駅改良工事(第5回線路切換工事)【鉄建建設】」で6万4284回再生、3位は鴻池組の「名鉄喜多山B9桁架設動画(2024年5月)」で9007回再生だった。
エビリーの担当者は、広告運用により視聴回数を稼ぐケースもあると説明した上で、1位を獲得した西松建設の動画を念頭に、「会社の歴史や思いをストーリー仕立てでアピールすることによりさまざまな視聴者が感情移入しやすい」と話す。
一方、5分以内の部門も西松建設の「西松建設『西松くんと建築先輩』篇(30秒・字幕あり) 細田佳央太/ずん・飯尾和樹 出演」が首位となり、42万6513回再生だった。2位は大林組の「大林組 TVCM つくるを拓く『熱狂』篇 30秒」で2万7622回再生、3位は大成建設の「大成建設グループCM『地図に残る仕事。』篇 60秒」で1万8146回再生だった。トップ10のうち七つがCMの動画で占めた。
カムイトラッカーは、国内最大級のユーチューブデータベース。一定の条件を満たした国内のユーチューブチャンネル情報を網羅しており、チャンネルの育成やタイアップに活用できる。エビリーは、これらのデータと知見を生かし、ユーチュバーキャスティングやコンサルティングなどのサービスも提供している。
調査対象のゼネコンは次のとおり(順不同)。
▽奥村組▽長谷工コーポレーション▽髙松建設▽清水建設▽鹿島▽大林組▽大成建設▽竹中工務店▽戸田建設▽三井住友建設▽熊谷組▽東急建設▽鴻池組▽鉄建建設▽東洋建設▽飛島建設▽佐藤工業▽イチケン▽若築建設▽青木あすなろ建設▽本間組▽みらい建設工業▽大末建設▽西松建設▽安藤ハザマ。