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12月6日 土曜日

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【記者座談会】2025年度補正予算案まとまる/三河港が特定利用港湾に

◇公共事業の年度総額は前年度上回るも力弱く

A 2025年度の補正予算案がまとまった。

B 政府全体の歳出は、国費ベースで一般会計17兆7000億円、減税と特別会計を合わせて21兆3000億円という規模になった。このうち、第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分は国費ベースで1兆9159億円になった。

C 全国建設業協会は、実施中計の予算額を「2兆円を超える額」と要望していたはずだ。

B 残念ながら2兆円を超えなかったが、24年度補正予算で計上した5か年加速化対策の最終年度分と比べれば32.2%増だ。事業規模ベースでも、実施中計と加速化対策を比べると約3割の増加で、計画全体の事業規模と単年度国費の増加幅はほぼ重なり、一定額に達したというのが政府の説明だ。

C でも、地域の建設業からは、物価高の影響を除いた実質建設投資が大きく落ち込んでいて、「仕事がない」という悲鳴に近い声が出ている。もちろん、建設業を存続させるために公共事業費を付けてほしいということではない。でも、実質の投資額が減少しているということは、実際に国土強靱化に向けた整備速度は落ちているということだ。政府として、そういう姿勢でよいのだろうか。

B とはいえ、年度単位の政府全体の公共事業費総額を見ると、25年度当初予算は6兆0858億円で、補正予算が2兆6000億円だから、総額は8兆6858億円ほど。24年度は当初と補正を合わせて、8兆4000億円だったから、3000億円近くは積み増した計算になる。

C 3000億円弱でここ数年の物価高の影響を取り戻せるとは思えない。高市政権に対する地域建設業からの見方は厳しさを増しそうだ。

◇自衛隊利用へ滑走路や岸壁整備進め機能強化

三河港(蒲郡上空から東側を望む)


A ところで、国が指定する「特定利用空港・港湾」について、愛知県が三河港の指定に向けた港湾施設の「円滑な利用に関する枠組み」を確認し、11月に回答を示した。どんな内容だっただろうか。

D 特定利用空港・港湾は総合的な防衛体制の強化のため、平時から自衛隊や海上保安庁が訓練などに使用できる空港・港湾として国が指定する。8月29日時点で、全国で14空港、26港湾の計40カ所が指定されている。

E 愛知県は三河港の指定に当たり、民生利用と災害の迅速な対応に寄与するインフラ整備の着実な推進のほか、民生利用が主であることの順守、県や関係自治体への説明、安全確保と事故発生時の情報提供・原因究明・再発防止の三つも合わせて要請した。

F 三河港は陸上自衛隊の豊川駐屯地が近隣にあり、大規模災害が発生した際に被災地へ部隊を派遣する場合があることから指定が予定されている。同県内では、名古屋港管理組合の名古屋港と、中部国際空港会社の中部国際空港も候補に挙げられている。

A 指定後の施設整備はどうなるのか。

D 民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁も円滑に利用できるよう、空港の滑走路延長やエプロン整備、港湾の岸壁整備、航路整備などに加えて、それぞれの既存事業を促進し、空港・港湾の利便性の確保や機能強化をする。民間利用の活性化にもつながるのではないか。

E 平時の訓練で空港・港湾の特性を習熟することで、災害時により迅速・安全に部隊や物資を展開・輸送できるようになることも大きなメリットになる。

F 有事に備えた施策が期待できる。ただ備えは万全にしつつ、その時が来ないことを願うよ。

 

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