KENZO(東京都港区、青木陽CEO)は、建設業特化型の電子商取引クラウドサービス『建設PAD』をリリースし、今年で5年を迎えた。ゼネコンの取引業務に特化したシンプルなUI(ユーザーインターフェース)を備え、見積書や下請基本契約書、注文書、請求書など、日常的に扱う帳票をデジタルでやり取りし、クラウド上で一元管理できる点が特徴だ。帳票データは案件ごとに整理され、業務の流れに沿って構造的に連携されている。
紙やメール、個別フォルダ管理が混在しがちな書類業務を集約することで、確認作業や書類検索の負担軽減につながる。建設業法や電子帳簿保存法にも対応しており、法令に準拠した形でデータ保管が可能なため、コンプライアンス面でも安心して利用できる仕組みとなっている。地域のインフラを担う中小建設業からの評価も高く、2025年には北海道内でいち早くIT化に取り組む空知郡奈井江町の砂子組(砂子邦弘社長)が建設PADを試験導入した。同社では社内の発注業務を電子化するとともに、ほぼ全ての協力会社が建設PADに参加し、見積書や発注書、請求書のやり取りを同一プラットフォーム上で行っている。効果があると判断し、今後は全現場での活用を見据えている。
砂子組の真坂紀至常務執行役員企画営業部長は「パソコンやスマートフォンから取引ができ、プロジェクトごとに見積書、注文書、請求書などを一元的に保管できるため、書類を探す手間が減った」と話す。紙保管やメール保存では保管場所が分散しがちだが、建設PADに統一することで管理場所が明確になり、検索機能を活用して迅速に確認できるという。社内の稟議もオンライン化され、外出先や現場からスマートフォンで内容確認や承認が可能になったことで、意思決定のスピードも向上している。「担当者が変わっても引き継ぎがしやすく、休暇時でも別の職員が対応しやすくなった」と効果を実感している。
同社では国土交通省が進めるStageIIでリソースマネジメントを実践し、工程管理の高度化を進めながら、デジタル技術の活用やプロセス改革を見据えたDX化、3次元データの利用にも取り組んでいる。その中で、契約・発注・請求といった商流業務の電子化は今後避けて通れないテーマと位置付ける。建設PADについても、自社業務に合わせた活用を進めながら、さらなる効率化を図っている。
青木CEOは「現場の声を伺いながら、より使いやすいシステムへと改善を重ねていきたい。地域の建設会社が無理なくデジタル化を進められる環境づくりに貢献したい」と話す。現在は建設PADへのAI機能の実装も進めており、AIエージェントに会話形式で指示を出すことで、帳票作成や過去案件の確認などを支援する機能を順次リリースする予定だ。実務担当者の負担軽減につながる活用を目指す。利用企業からのフィードバックを開発に反映し、実務に即したサービスの提供を続けていく考えだ。



