【組織が追求するものは?/つくる喜びと感動共有】
鹿島の専務執行役員建築管理本部長に茅野毅氏が就いた。国内外の建築事業の基本方針を担う立場から、「お客さまや設計事務所、協力会社とともにつくる喜びと感動を共有できる組織をつくりたい」と語る。旺盛な建設需要が続く一方、最大の課題に挙げるのがサプライチェーンの強化だ。担い手確保と独自技術の社会実装を展開し、選ばれる会社を目指す茅野本部長に運営方針を聞いた。
--就任の抱負は
「建築管理本部の役割は、建物の新築やコンバージョンによる価値向上を通じて、お客さまの社会貢献の推進を間接的に支えることにある。お客さまの思いに寄り添うことを大切にしながら、設計事務所や協力会社、メーカーなど事業に関わる全ての方々とともに、つくる喜びと感動を共有できる組織をつくりたい。お客さまのビジネスを理解し、企画・開発の上流から維持管理運用の下流まで、バリューチェーン全体で付加価値を提供できる体制を築くことも重視する」
--市況と受注環境は
「建設市場は全体として堅調だ。関税やコスト上昇で一部に慎重な動きはあるものの、半導体・医薬関連などの生産施設は底堅く、再開発や宿泊施設の需要も高水準で推移している。データセンターの増加に伴う電力需要などもあり、今後数年は旺盛な需要が続くとみている。施工体制の適切な確保を前提としつつ、採算性を重視した案件の検討を徹底していく」
--現状の最大の課題は
「サプライチェーンの強化だ。設計力や施工力を大幅に上回る仕事量は、安全・品質・工期・コストの全体最適を損なう。仕事量とリソースのバランスを全社的に適切に管理していく必要がある」
「最も力を注いでいるのは施工体制の確保で、協力会社を重要な事業パートナーと位置付け、技能体験アカデミーによる採用活動支援やデジタル化支援、支払い条件の改善など、担い手確保と財務面の支援に取り組んでいる。働く魅力を高める一環で、現場の貢献に対して元請けから技能者本人へ直接ポイントを付与する『ビルダーズポイント』を全現場に導入した。努力を可視化し、働きがいを感じられる環境をつくりたい」
--ロボットやAI(人工知能)の活用は
「人手不足という構造的課題を乗り越えるには生産性向上が不可欠だ。技能者が能力を最大限発揮できる環境づくりにもつながる。既に全国100を超える現場で独自技術を活用しており、鉄骨溶接や床仕上げ、墨出しなどのロボットは、日常的に活用する段階に入った」
「将来的には各種ロボットに職人技のデータを搭載し、フィジカルAIでロボット自らが試行錯誤を通じて最適な動作を習得する段階へと進化させていきたい。意思決定の迅速化や品質管理の高度化に活用している生成AIについては、判断を支援するツールとして、最終的な意思決定は経験と技術を備えた人間が担う。AIを使いこなす力と技術力を併せ持つ人材の育成が今後の競争力の源泉になる」
--組織運営について
「社会やお客さま、設計事務所、協力会社、若者から『選ばれる会社』であり続けたい。その基盤は人と技術であり、社員一人ひとりの充実なくして顧客満足は成り立たない。心身の充足を重視したヒューマンセントリックな組織運営を軸に、失敗を恐れず挑戦できる風土を醸成する」
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(かやの・たけし)1986年3月京大大学院工学部建築学科修了後、同年4月鹿島入社。2012年2月関西支店建築部長、17年4月建築管理本部建築企画部長、19年4月執行役員、21年4月常務執行役員関西支店長、25年4月専務執行役員を経て、26年4月から現職。大阪府出身。61年8月23日生まれ、64歳。
