容器製造大手の東洋製罐と、DJI製ドローンの正規代理店であるセキド(東京都港区)は、東洋製罐が開発したドローン用スプレー缶噴射装置「SABOT(サボット)」を使用した補修作業の体験会を開いた。
SABOTは、ドローンの飛行操作と並行して遠隔操作で壁面や屋根、構造物に塗料や防錆(ぼうせい)剤、補修剤をピンポイントで噴射が可能だ。従来は足場架設やゴンドラ作業を必要としていた高所補修作業の工期短縮、コスト削減、作業員の安全確保に寄与する。
体験会では、屋根破損箇所に穴埋め効果のある液を噴射するピンポイント補修、赤さび発生箇所のさび進行を止める液体塗布による補修作業、外壁塗装などを実演した。セキドスタッフはDJI製ドローンの最新機能を解説した。
開発の契機は2018年にさかのぼる。容器メーカーとして培った技術を活用した新たな製品開発を目指し、成長市場であるドローンとの融合に挑んだ。従来、噴射時に液体が拡散し飛距離が出ないとされていたスプレー缶に、容器メーカーならではの知見と発想から二重構造容器や窒素ガスなどを採用。長い噴射距離と高いピンポイント噴射を可能とする専用スプレー缶を開発した。併せて専用缶を装てんし噴射する装置も開発。その後改良を進め、21年9月から正式に販売を開始、今年7月には最新機種SABOT3Block2を発売した。
標準機体としてDJI製産業用ドローンを採用した背景には、国内外での圧倒的な普及率と機体制御の信頼性に加え、サードパーティー向けに提供するソフトウエア開発キット「PayloadSDK」にのっとり開発することで、DJI製コントローラーとの連携、電源供給や通信機能が共有できるメリットがある。
体験会では、現在開発中の多目的伸縮装置「NYOI(にょい)」も紹介した。SABOTに接続して使用する。先端部を伸縮させることで、さらなる近接噴射や、刷毛やローラーを装着して直接塗装作業を可能とし、現場の多様なニーズに応える。
開発担当の東洋製罐テクニカルセンターの荒木宗司氏は「見る・点検する用途が主だったドローンに、スプレー缶技術を融合し作業する役割を与えた。小規模であれば、1日でドローンによる点検から簡易補修まで行うことが可能だ。現場の作業性と安全性向上に貢献したい」と語る。
両社は今後も体験会などを通じてインフラ老朽化対策や現場のスマート化を後押しする方針だ。
