日本建設業連合会の安全委員会(伊藤寛治委員長)は19日、2018年度災害防止対策特別活動の一環として北海道八雲町内で施工が進む北海道新幹線のトンネル現場2カ所を安全パトロールした。
伊藤委員長はパトロールの実施に当たり、「災害撲滅は各企業、建設業界全体の悲願であり、経営の根幹でもある。会員各社、各現場での無事故・無災害の達成を願っている。パトロールは、安全対策について相互に共通認識を持ち、好事例を水平展開することで労働災害を防止し、業界全体の安全施工技術のレベルアップを図る目的で実施している」とし、工事関係者の安全意識向上と、必要な対策の推進を要請した。
19日にパトロールした、「北海道新幹線、立岩トンネル(立岩)他工事」(施工=戸田建設・伊藤組土建・新太平洋建設・北海道軌道施設工業JV)は、トンネル延長5015mのうち、2052mの掘削が完了している。重機関連災害の防止対策では、腕時計型発信機を活用した取り組みを実施。重機の作業範囲内に入る際には、腕時計のボタンを押して重機側に合図を送り、いったん機械を停止させた後に、オペレーターに再度、合図を送ってから立ち入るというルールを徹底している。
見学者も多く訪れるため、大型車の駐車場も完備しているほか、工事の状況などを紹介するインフォメーションセンターも設置し、現場の魅力発信にも貢献している。また、働きやすい環境づくりに取り組む建設作業所を対象とした日建連の第1回「快適職場認定」で、より高いレベルの現場に贈られる「プラチナ」に認定されている。
続いてパトロールした「北海道新幹線、立岩トンネル(山崎)」(施工=大林組・青木あすなろ建設・松本組・阿部建設JV)は、トンネル(本坑)4960mと横坑1675mなどを施工する。現在、横坑の掘削は約350m完了している。墜落災害の防止に向けては、高所作業時に先行して親綱を設置するなどの取り組みを実施。移動時のクラクション合図の徹底や、ずり出し中の坑外または拡幅部への退避など、重機関連災害の防止に向けた取り組みも徹底している。
パトロールでは、両現場の状況を視察後、具体的な安全対策についてヒアリングした上で意見交換し、災害防止に向けた取り組みのさらなる推進を要請した。