【建コン協近畿・第52回研究発表会】ニーズ捉えた研究成果を披露 講演会や支部活動報告も実施 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

公式ブログ

【建コン協近畿・第52回研究発表会】ニーズ捉えた研究成果を披露 講演会や支部活動報告も実施

 建設コンサルタンツ協会近畿支部は3日、大阪市の大阪科学技術センターで第52回研究発表会を開いた。会員による一般発表や若手技術者によるポスター発表など、100を超える研究成果が披露された。会員中心に約800人が来場、論文発表のほか講演会や支部活動報告など多彩な企画が行われ、会場は終日にぎわった。
 開会あいさつに立った吉津洋一支部長は「激甚・広域化する災害を始め老朽化した社会インフラ、そして働き方改革にも対応が求められる中、論文発表のタイトルには時代を先取りしニーズを捉えたテーマが多く見られ、心強く感じる。これからも切磋琢磨(せっさたくま)し、連携の輪を広げてほしい」と述べた。
 計62編の論文の中から最優秀賞に芦野洸介氏(中央復建コンサルタンツ)の「AI解析ソフトによるフクロウの音声解析の有用性に関する検討」が選ばれ、優秀賞と奨励賞に計10編を選出。また若手技術者中心のポスター発表(計42編)では優秀賞と奨励賞あわせて12編が選ばれ、計23編が入選した。審査に当たった同支部の久後雅治技術部会長は「将来に希望の持てる、頼もしい発表だった」と講評を寄せた。

吉津支部長

 論文発表とあわせ、支部委員会活動の成果も披露された。働き方研究委員会は、座談会型式のワークショップを開催。「休めていますか?帰れていますか?」との「お題」をきっかけに、グループごとに解決策について討議した。またBCP委員会はBCP研究の第一人者・白木渡香川大特任教授を招き、ワークショップや講演会を実施した。このほか「インフラメンテナンス」「ICT」「道路」の3つの研究委員会も中間報告を行った。
 若手技術者が作成した約1分の動画で建設コンサルタントの仕事をアピールするコンテスト「CM総選挙」には7社から8編の動画がエントリー、投票の結果、中央復建コンサルタンツ制作の「まちの未来のクリエイター」が最優秀に選ばれた。
 このほか、福和伸夫名大教授と宮川久近畿地方整備局技術調整管理官による特別講演も行われた。閉会に当たり崎本繁治副支部長は「他の支部では類を見ない、支部最大のイベント。私たちに課せられた課題は多いが、コンサルタント業界を良くしていくためにさらに魅力ある団体にしていきたい」と締めくくった。
 最優秀以外の入選論文と受賞者名は次のとおり(敬称略)。
 =優秀賞=
 〈一般論文〉コスト縮減を図ったスマートインターチェンジ計画=中本啓太(オリエンタルコンサルタンツ)▽流木の流出特定を考慮した流木対策に向けた提案=原田紹臣(三井共同建設コンサルタント)

入賞者(一般論文部門)の記念撮影

 〈ポスター発表〉自転車の通行位置選択に関する研究=藤川征樹(パシフィックコンサルタンツ)▽農業集落排水処理施設の統合検討業務=竹元照晃(協和設計)
 =奨励賞=
 〈一般論文〉三重県内におけるラウンドアバウトの導入検討=市橋蒼(国際航業)▽平成30年7月豪雨災害現場への迅速・簡易で低廉な斜面観測システムの導入=戎谷遵(国土防災技術)▽ダム門柱のFEMモデルを用いた動的解析による耐震性能照査=傳斌(エイト日本技術開発)▽下部構造の地震後の修復性に着目した橋の限界状態の設定と問題点=板井達志(長大)▽大型台風接近時における排水トンネルのメタンガス発生機構=若本達也(建設技術研究所)▽合理的な橋台部ジョイントレス構造の提案=奥田直人(大工大大学院)▽人為的な森林の消失に伴う流域の斜面安定性の遷移=太田凌嘉(京大大学院)▽水制形状による河道湾曲の影響を受ける河川合流部の河床変動特性とその制御に関する研究=西尾潤太(明石工業高専)
 〈ポスター発表〉大東市立深野北小学校跡地活用による「こども基地」計画=伊藤彩香(ウエスコ)▽地方都市における公共交通不便地域でのモビリティに関する分析=近藤雄介(ウエスコ)▽JR高槻駅における動的OD交通量推定=家城奨吾(修成建設コンサルタント)▽床版取替えにおける床版=小林駿祐(建設技術研究所)▽環境対応型路面温度低減舗装の耐疲労性に関する研究=西川友輝(東洋技研コンサルタント)▽モンゴル国Bugin Tsav 上部白亜系ネメグト層産出の獣脚類恐竜化石=児玉龍之介(ウエスコ)▽アルミノケイ酸塩による飛灰中セシウムの難溶性態化=糸賀悠里香(建設技術研究所)▽下水汚泥燃料化の熱源選択によるエネルギー回収の変化=道浦貴大(パシフィックコンサルタンツ)▽蛍光X線分析法を用いた精錬所周辺土壌の亜鉛・鉛濃度の把握=小林亮平(国土防災技術)▽アオコが発生する閉鎖性水域における流動・水質および生態系モデルの構築=三上悠美(協和設計)。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら