【記者座談会】渋谷で新施設開業/カジノ事業者、誘致合戦に賭け | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】渋谷で新施設開業/カジノ事業者、誘致合戦に賭け

A 東京・渋谷で、きょう1日、「渋谷スクランブルスクエア」がオープンする。エリア最高峰の新たなランドマークだ。先日のメディア向け内覧会はどうだったかな。
B 一部のフロアは歩くスペースがないほど大盛況だった。高さ230mにある展望施設「SHIBUYA SKY」は、遮るものなく東京中を一望できる。昼に取材して帰社したんだけど、がまんできず夜景も撮影しに行った。
C 11月は「渋谷フクラス」や「渋谷パルコ」などの開業が控えている。この後は宮下公園の再整備、道玄坂の複合ビル、スクランブルスクエアの2期など、開発が続く。展望台から見る景色も年々変わっていくだろう。
D 渋谷のオフィス賃料の伸び幅は大きい。三鬼商事の調べでは、平均賃料が千代田区を上回った。もともと供給自体が少なく、新築の大型物件が平均を引き上げたようだ。
C 渋谷には“懐の深さ”があると思う。奥渋谷などは落ち着いたエリアだが、センター街や道玄坂などはにぎやかだ。その雑多さが魅力で、多様なトレンドを生み出してきた。今後も、個性を大切にしたまちづくりを期待したい。

1日にオープンする「渋谷スクランブルスクエア」の高さ230mにある展望施設「SHIBUYA SKY」からの夜景

◆IR誘致 沈黙続ける都の動きに臆測広がる

A 一方、米国フロリダ州でも10月下旬、エレキギターの形をした象徴的な大型施設が開業した。ハードロック・インターナショナルによるIR(統合型リゾート)施設だ。ちなみにハードロック社の日本法人は、北海道苫小牧市のIR構想に照準を合わせ、現地事務所も開いた。
E 苫小牧市では、米国のモヒガン社やラッシュ・ストリート社といったカジノ事業者も、現地事務所を開設している。ただ肝心の北海道は、まだ誘致を正式表明していない。表明できるのは都道府県・政令市に限られ、まずは3カ所が選定される。地方創生の流れから、「少なくとも1カ所は、地方都市になるのではないか」との読みも根強い。
F 東京都も沈黙を崩さないが、多くの関係者はその動向を注視している。10月下旬には都庁の若手職員も参加する官民連携チームが、臨海部・青海地区へのIR誘致を提案した。集客力を強化し、東京の国際競争力強化につなげるよう求めている。
G この提案は当然、都としての公式見解ではないだろう。しかし、公式の報道発表には盛り込んだ。関係者の間では「観測気球」や「正式表明への布石」と見る向きも多い。「来年の都知事選挙後に正式表明するのではないか」との臆測も広がっている。
E マイナス金利政策にあえぐ金融機関も、IRに熱視線を注いでいる。複数のカジノ事業者が1兆円規模の投資を表明し、またとない大型融資の機会だ。万博開催が決まってIRも有力とみられる大阪では、各行が横並びで専門チームを設置している。
A 金融機関は手堅く、自治体が正式表明した地域で準備を進めている。そう考えると、表明が出そろっていない段階で現地事務所を開くカジノ事業者の動きは、少し危険な投資に見える。現在検討中の自治体でも、最終的に表明を断念するケースもあるだろう。
G ギャンブル施設に反対する動きは、程度の差こそあれ、どの候補地にもある。横浜市のIR誘致をめぐっても、確定したわけではない。しかし、早々に「大阪での応募を見送り、横浜に集中する」と表明したカジノ事業者もいる。
F では今後、東京都が正式に手を挙げたらどうなるか。さすがに「やっぱり東京にします」とは言いにくいだろう。先走り気味にも見える事業者の動きは、情報戦の途中経過であり、ある種の“賭け”かもしれないね。

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