【大林組・JFEスチール・ジェコス】耐震改修工事に新工法 配筋作業時間とコンクリ量を削減 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【大林組・JFEスチール・ジェコス】耐震改修工事に新工法 配筋作業時間とコンクリ量を削減

 大林組とJFEスチール、ジェコスは、仮設の土留め用鋼矢板で本設地下壁を構築する「J-WALLII工法」を香川県庁舎東館耐震改修工事(発注者=香川県、工事監理=松田平田設計)で初めて適用した。地下壁の配筋量が従来工法の半分となり配筋作業の時間を50%短縮できたほか、従来工法より壁厚を薄くしてコンクリート量を60~80%にまで削減した。

地下壁の施工状況

 都市部での既設構造物の耐震改修工事では、建物と地盤の間に免震装置を追加するといった地下工事が必要になるものの、供用中の道路や隣地境界、構造物との隣接地に地下壁を構築するため、従来工法からの大がかりな設計変更が伴うケースがあった。香川県庁舎東館耐震改修工事でも、免震レトロフィット構法を採用しており、地下ピット外周の土留め壁として仮設の鋼矢板を設けた上で新設の地下壁を構築し、仮設鋼矢板を撤去する工法で計画されていたものの、地下壁が隣地境界線と接している上、設置スペースが600mm程度しかない部分が発生する状況だった。
 J-WALLII工法は、鋼矢板に鉄筋コンクリートとの定着用のCT形鋼と鉄筋をあらかじめ取り付けた「ビートルパイル」を仮設の土留め壁として利用し、掘削後に鉄筋コンクリートと一体化して本設の地下壁とする。同工事では、壁厚550mmの地下壁を施工したほか、上部に制限がある部分ではビートルパイルを3分割して溶接継手を設けた。ビートパイルは、供用中の庁舎や隣接建物への影響を最小限に抑えるため、低騒音・低振動の油圧圧入機で圧入し、施工精度や施工スピードが通常の鋼矢板の施工と同等程度となることを確認した。ビートパイルが鉄筋の機能を代替することによる配筋作業時間の短縮や、壁厚を薄くすることによるコンクリート量削減を実現した。
 施工結果を設計方法や施工方法に反映して利用の拡大を目指すほか、狭あい地での立体交差や掘割道路、ビル・地下鉄駅の改良工事におけるエレベーターシャフト、地下通路など都市部の難条件開削工事への適用を進める。

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