【電気機器の点検を遠隔化】日本テクノ 「スマートキュービクル」実証実験を自社ビルで開始 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【電気機器の点検を遠隔化】日本テクノ 「スマートキュービクル」実証実験を自社ビルで開始

 日本テクノ(東京都新宿区、馬本英一社長)は、電気主任技術者が点検する電気機器について遠隔で定期点検・予兆把握が可能になるシステム「スマートキュービクル」の実証実験を自社ビルで開始した。

システム概念図


 電気保安業界では、自家用電気工作物や再生可能エネルギー発電設備が増加する中、保安を担う電気主任技術者の高齢化や担い手不足が課題となっている。月次点検は、人間の五感を活用して異常などを把握するため、技術者の高齢化による点検品質の低下も懸念される。また、設備の通電中に数値を測定できるのは負荷電圧、負荷電流、低圧部の漏えい電流、変圧器の温度などで、高圧器や高圧ケーブルで生じる突発事故は防げないという課題も抱えている。

 スマートキュービクルは、カメラやガスセンサー、ニオイセンサー、マイク、温度センサーを室内や設備に設置し、月次点検で必要な項目のデータを収集・蓄積する。データを基に故障を予知するほか、事前に設定した項目だけでは検知できない異常は、センサーとの関連性を調べ、AI(人工知能)で分析して劣化予兆を発見したい考え。これにより、更新推奨時期といった電気保安ではなく、機器の状態を把握して対処する方法の確立を目指す。

 月次点検では、携帯端末を使った電気点検簿システムも構築し、点検の予定管理や月次点検報告書の指摘事項管理などを実施する。計測データのグラフ化やリアルタイム閲覧、必須項目記入漏れ時のアラート機能も備える。今後は、各種センサーからの数値も月次点検報告書に自動記入される仕様に改良する予定。ノウハウをシステムに蓄積し、現場作業時の不明点などもマニュアルで閲覧できるようにする。

 突発停電の事故防止には、高圧機器の絶縁状態を監視する。ケーブルシースの測定は、漏れ電流や高調波、ノイズなどが含まれるため計測は難しいものの、独自のフィルタリングシステムで必要な漏れ電流だけを計測できるシステムを開発した。現在、主任技術者外部委託制度で保安点検を委託すると、1-3カ月に1度、点検を実施する必要があるものの、高圧部分の点検は目視しか実施できない。監視装置を設置することで、点検間隔を半年に1回、停電を伴う年次点検を3-5年に1回に減らすよう経済産業省にも提案する。

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