【隈研吾】建築は1人ではできないからこそ、コミュニケーションを 芝浦工大建築学部の開設記念講演 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【隈研吾】建築は1人ではできないからこそ、コミュニケーションを 芝浦工大建築学部の開設記念講演

 「建築はいろいろな人とつくる。一人ではできない。相手をその気にさせることが大切になる。それには風通しの良いことが求められる」
 11日に開かれた芝浦工業大学の建築学部開設記念式典で記念講演した、建築家で東大教授の隈研吾氏は、参列した新学部の第1期生270人に、こう話しかけた。
 「風通しを良くするにはコミュニケーション能力が大切となる。それは相手の気持ちに立って考えることが重要」であり、「それによって信頼関係をつくる。そういうことを持続すること。持続と信頼が建築の基本」なのだと。
 「1日にして建築は成らない。トライアンドエラーを繰り返すからこそステップアップしていく。粘り強さが大事」とも。
 自らの学生時代も振り返りながら「授業だけではなく、先生とのインフォーマルな会話は学生にとって支えになる。芝浦は38人の先生が親密に学生とコミュニケーションする学校になる。人を育てるすばらしい場となることを確信する」とエールを送った。

建築を学ぶ学生に求めるもの 客員3教授も登壇

左から押野見氏、長谷川氏、櫻井氏

 「今、建築を学ぶ学生に求めるもの」をテーマに、押野見邦英氏(K/O design studio主宰)、長谷川逸子氏(長谷川逸子・建築計画工房主宰)、櫻井潔氏(櫻井潔建築設計事務所・ETHNOS主宰)の3人の客員教授も登壇。
 押野見氏は「既存学科を建築学部に統合した意義は大きい」とした上で「100年の人生戦略を建築を中心にどう考えるか。大学の次は就職に目を向けがちだが、ロングタームの人生、AI(人工知能)に追いつかれず、クリエイティブな能力を磨き、変容していく建築にどう向き合っていくか、ともに学んでいきたい」と語った。
 長谷川氏は、女性建築家のパイオニアの一人として、「1期生270人のうち女性が30%。建築に女性が活躍できる時代だと強く感じる」としながら「建築を考える上でどういう人と出会えるかがとても大切」「快適な場をつくるには自分が気持ちよく生活していることが重要」と日々の暮らしや出会いの大切さを訴えた。
 櫻井氏は、建築の果たす役割の重要性を強調した上で「人にかかわるすべてのことが関係する。すべてが師であり、責任が大きいからこそ面白くもある。原点に立ち、常に本質を求めていく。どう思いを伝え、どう共有していくか。この大学で学んでほしい」と呼びかけた。

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