【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020① | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020①

日刊建設通信新聞社は、土木学会土木情報学委員会施工情報自動処理研究小委員会の共催を得て、国土交通省が先導するBIM/CIMの取り組みを通し、将来の建設産業が向かうべきデジタル化の方向性を浮き彫りにするウェブ講演「BIM/CIM LIVE」をスタートさせた。8月5日の第1回講演を皮切りに、全4回のシリーズとして開催。国交省がBIM/CIMの原則適用時期を前倒ししたことで、今後の適用案件は業務、工事ともに大幅に拡大する見通し。第1回講演の参加申し込みは1800人を超え、動き出したBIM/CIMへの関心の高さが浮き彫りになった。本講演を通して、BIM/CIM一般化への道筋を探る。

BIM/CIM LIVEには、国土交通省を始め日本建設業連合会、日本建設情報総合センター(JACIC)、建設コンサルタンツ協会、NPO法人グリーンアースが後援、オートデスク、フォーラムエイト、ダッソー・システムズ、日本オラクル、応用技術、大塚商会、建設システムからの協賛も得た。

第1回は、国交省大臣官房技術調査課の榮西巨朗氏が「BIM/CIMの最新動向と今後の方向性」、IHIインフラ建設の若林良幸氏とオフィスケイワンの保田敬一氏が「橋梁建設工事におけるPRISMへの取り組み」、安藤ハザマの木付拓磨氏が「4K定点カメラ映像による工事進捗管理システムの開発」、復建調査設計の亀田雄二氏が「BIM/CIM人材の育成について」をテーマに講演したほか、日本建設情報総合センターが第2回の予告編として「i-Conチャレンジ戦略~ICT活用による新現場力の構築~」について紹介した。

本特集では、第1回の各講演のポイントをピックアップした。

主催:日刊建設通信新聞社
共催:土木学会土木情報学委員会施工情報自動処理研究小委員会
後援:国土交通省、日本建設業連合会、日本建設情報総合センター、建設コンサルタンツ協会、NPO法人グリーンアース

第2回 10月2日午後1時30分から ホームページで参加募集
第2回は10月2日午後1時30分から、ユーチューブにて無料公開します。
参加はホームページから申し込みください。 ※受付は終了しました

 

 

 

 

 

 

国土交通省大臣官房技術調査課課長補佐 榮西巨朗氏

国土交通省内にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部が設立し、インフラ分野のDX推進に向けた取り組みが動き出した。その中心的な役割を担うのがBIM/CIMである。DX推進に合わせてBIM/CIMの原則適用時期を前倒し、2023年度までに小規模なものを除く全ての公共工事に導入することとなった。

20年度はDXの流れもあり、新技術・デジタルデータの活用拡大を積極的に進める。23年度までのBIM/CIM原則適用に向け、現場、研究所、企業、大学との連携も強化する。人材育成への取り組みも積極的に進める。地方整備局に人材育成センターを整備し、3次元データ活用に向けた受発注者向け研修プログラムも実施する。

ICT施工についても、16年度のICT土工を皮切りに対象を広げており、20年度は地盤改良工、法面工、舗装工などを新たに開始した。さらなる工種拡大の準備も進めており、21年度には構造物工などの新たな工種まで拡大する予定である。構造物工の場合、工事開始後に2次元図面から3次元化するのは手間がかかる。工事で活用できるよう、詳細設計で作成した3次元モデルを適切に引き継ぐことが重要になるため、しっかりと進める。

BIM/CIMの効果を最大限に発揮するには、川上から川下の各段階を3次元モデルデータでつなぐ全体最適の枠組みを形づくることが大切になる。検討体制としてはBIM/CIM推進委員会の下に5つのワーキンググループを置き、幅広な検討を進めている。並行してi-Constructionモデル事務所を全国10カ所に設置し、その下に53のサポート事務所を置いている。モデル事務所ではモデル事業を進め、サポート事務所では地方自治体からの相談対応等を行っている。各地区のBIM/CIM事例を蓄積し、事例集として情報発信する。

BIM/CIMの19年度導入実績は前年度の212件(業務147件、工事65件)を大きく上回り、361件(業務254件、工事107件)となった。初導入の12年度から着実に右肩上がりで推移しているが、メインターゲットでもある一般土木や鋼橋土木・PCなどの工事件数は年間4000件規模となり、100件強のBIM/CIM導入工事は母数から見ればまだ少ない。

小規模を除いても23年度までに原則適用するとなれば、工事の導入件数は一気に増えることは明らか。残りの工事にBIM/CIMを適用するためには設計段階でもっと適用を増やしていく必要がある。特に先行させる大規模構造物は21年度から全ての詳細設計で原則適用とし、22年度には全ての詳細設計と工事まで原則適用の幅を広げる。大規模構造物以外については22年度から全ての詳細設計で原則適用とし、23年度から全ての詳細設計と工事まで原則適用の幅を広げる。

一方、工事種別としては設備や維持管理関連の工事もあり、それをどう進めるかも考える必要があり、BIM/CIMだけではなく、DXとしてデジタル情報を有効活用する視点からの検討も進める。

原則適用を見据えながら、基準要領を改定していく必要がある。20年度には、詳細設計における成果物として、発注者が必要とする3次元モデルの納品要件を定める。また、『BIM/CIMガイドライン(案)』を改定し、BIM/CIMを活用した仕事のやり方の指針となるよう、最終成果物だけでなく、これに至るまでの設計や施工の各プロセスで必要となる3次元モデルの詳細度や属性情報の目安を示す。事例集も整理し、好事例だけではなく、課題も示す。これらは19年8月に開設したポータルサイトに収録していく。

人材育成についても積極的に取り組む。地方整備局ごと研修を進められるよう、人材育成プログラムも整備する。新型コロナの影響もあり、ウェブ研修を前提として検討する。関東地方整備局関東技術事務所に設置した「関東i-Construction人材育成センター」をはじめとして、中部、近畿、九州の3整備局にもセンターを設置。モデル事務所、企業、大学とも連携する。民間支援の仕組みも考えており、国土技術政策総合研究所が主体となり、受発注者がクラウド上でモデル作成やモデル共有ができるよう、最低限必要な機能を無償で提供するような仕組みを構築する。

 

 

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