文化審議会は21日、建築家・丹下健三が設計した代々木競技場(東京都渋谷区)や、建築家・前川國男の作品である木村産業研究所(青森県弘前市)など、建造物7件を重要文化財に指定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。文部科学省は今後、指定を告示する予定だ。

写真提供・日本スポーツ振興センター
代々木競技場は丹下健三の代表作で、1964年の東京オリンピックを機に建設した。審議会は、ケーブルで屋根と観客席を支える「吊り構造」など前例のない技法を開発し、空前のダイナミックな建築を実現したと評価。「意匠的に優秀なもの」「技術的に優秀なもの」の基準を満たすとして、第1・第2体育館の2棟を指定するよう求めた。体育館が重要文化財に指定されるのは初めて。
前川國男が設計した木村産業研究所は、ル・コルビュジエが示したモダニズム建築の概念を体現する国内で最初期の建物として価値が高いと評価し、「歴史的価値の高いもの」の基準を満たすとして指定を答申した。
7件が指定されれば、国宝・重要文化財(建造物)は、2530件の5253棟になる。
審議会はこのほか、南越前町今庄宿伝統的建造物群保存地区(福井県南越前町)、若桜町若桜伝統的建造物群保存地区(鳥取県若桜町)、廿日市市宮島町伝統的建造物群保存地区(広島県廿日市市)の3地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定することを答申した。
重要文化財への指定を答申した建造物は次のとおり。
▽木村産業研究所(青森県弘前市)
▽代々木競技場(東京都渋谷区)
▽御前埼灯台(静岡県御前崎市)
▽長命寺(滋賀県近江八幡市)
▽第一大戸川橋梁(滋賀県甲賀市)
▽旧松坂屋大阪店(大阪市)
▽旧西脇尋常高等小学校(兵庫県西脇市)