新潟県内外の4社で構成する「集水井点検カメラ研究会」が発足した。専用カメラを使った集水井の点検をさらに安全で効率的にすることで、地すべり災害の抑制につなげ、安心安全の確保に貢献する。「会員で勉強会などを開き、工法をより進化させていきたい」と意気込む齋藤浩之会長(興和常務取締役技術本部長)に、今後の活動方針を聞いた。

齋藤会長
新潟県では、厳しい気象や急峻(きゅうしゅん)な地形により過去10年で400件以上の地すべりが発生している。そのため、地下水位を低下し、地すべりを抑える集水井が1300基以上設置されている。
一方、集水井のライナープレートの腐食や集水管の詰まりによる集水機能の低下が課題となっている。機能維持には定期的な点検が必要だが、人による目視は天井蓋や点検はしごの腐食による落下、有毒ガスの発生や酸欠などの危険が伴う。換気のための送風機の設置など手間もかかっていた。

全周撮影型の点検カメラ

1基当たりの点検は2時間程度
研究会では会員の技術力向上に向けた研修会や技術改良に取り組む。例えば、撮影した写真を効率的に整理する出力方法なども改良点の1つ。先進的なカメラ機器やIT技術の導入も視野に入れており、ユーザーである会員とともに、より効率的な点検手法の確立を目指す。
加えて、研究会を通じた会員間のネットワークの構築にも期待を寄せる。「カメラの台数も限られているため、忙しい時期は他の会員に仕事を手伝ってもらうなど協力体制もできるのではないか」と見ている。
10月には新潟県内で現場見学会を予定している。「点検の品質を高め、会員の誰もが扱えるようにしていきたい。発注者から工法の良さが認められれば、受注機会も増える」とし、工法の普及へ積極的に活動を展開していく。