【レンズダンパーにFMS合金を採用】高耐力、伸び性能発揮/推進協議会メンバーの5社 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【レンズダンパーにFMS合金を採用】高耐力、伸び性能発揮/推進協議会メンバーの5社

レンズダンパー推進協議会メンバーの青木あすなろ建設、ダット、鉄建建設、飛島建設、西松建設の5社は、共同で研究開発している制震ダンパー「レンズダンパー(LSPD=Lens-type Shear Panel Damper)」に優れた疲労特性を持つ新材料「FMS合金」を採用し、構造実験で有効性を確認した。また、採用実績で培った技術、性能評価方法、研究成果、FMS合金での実験結果などをまとめ、「LSPD設計・施工マニュアル」を刷新し、2022年3月25日付で日本ERIの構造性能評価を取得した。

レンズダンパー

LSPDは、中央部の両面の凹レンズ形状で、パネル全体に応力やひずみを分散する。間柱などの周辺部材にボルトで取り付け、地震時に建築物に生じる変位をLSPDに伝達して、せん断変形で地震エネルギーを吸収し、地震時応答変形を抑制する。

これまで、高い伸び性能を持つ低降伏点鋼材(LY225)を材料とし、開口部を遮らず、シンプルな構造により低コストで採用でき、大地震で万一交換が必要な場合でも簡単に交換できるといった特長がある。繰り返し地震にも制震効果が持続し、被災後の継続使用性を確保する。材料に新たにFMS合金を加え、建物の要求性能などで使い分け、多様なニーズに対応する。

FMS合金は、化学成分の最適化で繰り返し変形時の性能劣化を抑え、優れた疲労特性を持つ。LY225との比較では、最大荷重は2倍以上、伸び量は1.5倍で、高い耐力と優れた伸び性能を持つ。

また、性能評価法の更新、新材料(FMS合金)の追加、設置した建物の試設計の取りまとめなどを行い、マニュアルを刷新した。設計・製作・施工・維持管理の指針、告示エネルギー法によるLSPD付き建物の設計指針、設計例などを掲載している。

3月末時点の採用実績は、教育施設、事務所、工場、宿泊施設など、S造建物の新築で6件、耐震改修で4件の計10件となっている。今後、積極的に展開するほか、改良・改善を進める。


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