土日完全週休2日を本格展開/補正係数新設、分任官含め推進/他産業と遜色ない働き方実現/25年度土木積算基準/国交省 | 建設通信新聞Digital

5月17日 土曜日

行政

土日完全週休2日を本格展開/補正係数新設、分任官含め推進/他産業と遜色ない働き方実現/25年度土木積算基準/国交省

 国土交通省は2月28日、2025年度の直轄土木工事・業務に適用する積算基準を発表した。他産業と遜色のない働き方を建設業で実現するため、月単位の週休2日に対する経費の補正措置を残しつつ、新たな補正係数を設けた上で、土日を休日とする完全週休2日を全国の直轄土木工事で本格展開する。本官工事、分任官工事の両方で取り組みを進める。 建設現場の週休2日が定着したと判断し、より高みを目指して、他産業で一般的な土日の完全週休2日を直轄で本格的に始める。発注者指定型や受注者希望型といったタイプは設けない。完全週休2日(土日)は週単位の週休2日を意味する。
 新設する完全週休2日(土日)の補正係数は、現場閉所の場合に労務費と共通仮設費を各1・02、現場管理費を1・03、交代制の場合では労務費を1・02、現場管理費を1・03に設定する。
 国交省は、土日祝日の休みに加え、近年増加する猛暑日や大雨なども考慮して工期を設定していることから、工期上は既に完全週休2日が可能と説明する。当初見込んだ以上に猛暑日や大雨などが多く発生した場合には工期を延長しているが、工期延長が困難で土日の完全週休2日が難しくなった際、受注者が平日を代替休日とした週単位の週休2日に取り組むことも選択肢の一つにできるよう、完全週休2日(土日)の補正係数は現場の施工条件に留意しながら柔軟に運用する方針だ。4月1日以降に入札公告などを行う工事から適用する。
 24年度に新設した月単位の週休2日に対する補正措置は継続する。その補正係数は、現場閉所の場合に労務費と現場管理費を各1・02、共通仮設費を1・01、交代制の場合では労務費と現場管理費を各1・02とし、24年度から変えない。
 完全週休2日(土日)の本格実施に伴い、完全週休2日(土日)の達成状況を考慮して工事成績評定を加点する措置は廃止する。工期単位の週休2日(4週8休)に対する経費補正も取りやめる。

◆避暑・避寒経費を措置しやすく

 完全週休2日(土日)以外の主な基準改定内容を見ると、猛暑日の増加などを踏まえて避暑・避寒対策に要する経費を措置しやすくする観点から、共通仮設費に含まれる現場環境改善費の取り扱いを変更する。
 ミストファンなど設備対応の避暑・避寒対策を率計上の現場環境改善費から切り離し、積み上げ計上費目に変えて精算時の設計変更対象にする。費用の上限は率分で計上される現場環境改善費の50%。4月1日以降に入札書提出締め切り日が設定される工事から適用する。

◆時間外規制対応で歩掛かり改定

 24年4月から建設業に適用された時間外労働の上限規制対応でも、新たな措置を講じる。切削オーバーレイ工など10工種で、現場移動などによって実作業時間が短くなり、日当たり施工量が減少している傾向を確認したため、歩掛かりを改定する。鋼橋架設工(ベント設備設置・撤去、ベント基礎設置・撤去)では、移動式クレーンの回送時間を考慮した歩掛かりに改める。4月1日以降に入札書提出締め切り日が設定される工事から適用する。

◆災害対応の保険料積算は新年度検討

 災害協定に基づく災害応急対策工事などで、従事者負傷の補償や第三者への損害賠償を担保するための保険契約の保険料を積算する取り組みは、25年度積算基準に盛り込まず、25年度に検討する方針を示した。改正公共工事品質確保促進法を踏まえた対応となる。

◆測量業務の諸経費率を引き上げ

 業務では、実態調査の結果を踏まえ、測量業務の諸経費率を引き上げる。予定価格3000万円の業務で、予定価格が約5%上昇し、金額では約150万円増えるとしている。4月1日以降に入札書提出締め切り日が設定される業務から適用する。