日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画」を改定した。原材料費などの価格高騰時の全額転嫁を目指すに当たっては、出発点である「発注者への全額転嫁」を前提に、元請け、下請けを問わずサプライチェーン全体で取り組むと明文化した。計画改定に併せ、国土交通省に対して会長名の要望書も提出。竣工まで一切支払いがないケースもあるなどと窮状を訴え、民間発注工事の支払い条件改善などを求めた。 自主行動計画は2017年3月に制定し、今回で4回目の見直しとなる。下請中小企業振興法に基づく振興基準や、国交省の建設業法令遵守ガイドラインの改正を踏まえ、所要の改定を行った。24日に開いた理事会で承認した。
具体的には、「合理的な請負代金と工期の決定」の実施事項に、価格高騰があった場合の適切なコスト増加分の全額転嫁に関する考え方を追加した。日建連の山本徳治事務総長は「発注者への全額転嫁を前提にするという点を、中小企業庁に認めてもらったことに大きな意義がある」としている。
さらに、下請けから労務費転嫁の求めがなくても、その必要性について、協力会社会などを通じて呼び掛け、協力会社と年に1度など定期的に協議することを追記した。公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に掲げられた行動を適切に取るとの一文も加えた。
また、手形サイトの60日以内化については、努力義務から義務に改めた。このほか、日建連独自の労務費見積り尊重宣言や適正工期確保宣言に基づく取り組みの実施、改正建設業法に基づくおそれ情報が顕在化した場合の変更協議なども自主的に追記した。
理事会後の記者会見で宮本会長は「改定後の自主行動計画に基づき、下請取引の適正化や労務費の行き渡りに引き続き取り組む。しかし、昨今の資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せを防止するためには、元請け企業だけの努力では限界があり、発注者による適正な請負代金の設定や早期支払い、適正な価格転嫁が不可欠。特に、法律上の規制がない民間発注者においては、竣工まで請負代金の支払いが一切ないケースがあるなど、改善が強く望まれるものもある。日建連としては、国交省に対し、制度改正を含め、民間発注者による早期支払いの実現を働き掛けていく」と述べた。
24日には、日建連の井上和幸副会長・総合企画委員長が、国交省の平田研不動産・建設経済局長に、民間工事に主眼を置いた下請取引適正化に向けた要望書を提出した。
近年、手形サイトが短縮され、さらに26年をめどとする手形廃止方針が示されるなど、元請け企業から下請け企業への支払いの規制が強化される一方、発注者・受注者間は従来のままで、民間工事では着工から竣工までの段階に応じた「10・10・80(テンテンパー)」などの支払い条件が少なくないという。資材価格や労務費のアップで工事原価が上昇し、金利も上昇局面にある中、元請けによる立て替え負担が増大しつつあり、いわゆる竣工払いを基本とする商慣行の見直しを求める声が高まってきている。
具体的には、「合理的な請負代金と工期の決定」の実施事項に、価格高騰があった場合の適切なコスト増加分の全額転嫁に関する考え方を追加した。日建連の山本徳治事務総長は「発注者への全額転嫁を前提にするという点を、中小企業庁に認めてもらったことに大きな意義がある」としている。
さらに、下請けから労務費転嫁の求めがなくても、その必要性について、協力会社会などを通じて呼び掛け、協力会社と年に1度など定期的に協議することを追記した。公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に掲げられた行動を適切に取るとの一文も加えた。
また、手形サイトの60日以内化については、努力義務から義務に改めた。このほか、日建連独自の労務費見積り尊重宣言や適正工期確保宣言に基づく取り組みの実施、改正建設業法に基づくおそれ情報が顕在化した場合の変更協議なども自主的に追記した。
理事会後の記者会見で宮本会長は「改定後の自主行動計画に基づき、下請取引の適正化や労務費の行き渡りに引き続き取り組む。しかし、昨今の資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せを防止するためには、元請け企業だけの努力では限界があり、発注者による適正な請負代金の設定や早期支払い、適正な価格転嫁が不可欠。特に、法律上の規制がない民間発注者においては、竣工まで請負代金の支払いが一切ないケースがあるなど、改善が強く望まれるものもある。日建連としては、国交省に対し、制度改正を含め、民間発注者による早期支払いの実現を働き掛けていく」と述べた。
24日には、日建連の井上和幸副会長・総合企画委員長が、国交省の平田研不動産・建設経済局長に、民間工事に主眼を置いた下請取引適正化に向けた要望書を提出した。
近年、手形サイトが短縮され、さらに26年をめどとする手形廃止方針が示されるなど、元請け企業から下請け企業への支払いの規制が強化される一方、発注者・受注者間は従来のままで、民間工事では着工から竣工までの段階に応じた「10・10・80(テンテンパー)」などの支払い条件が少なくないという。資材価格や労務費のアップで工事原価が上昇し、金利も上昇局面にある中、元請けによる立て替え負担が増大しつつあり、いわゆる竣工払いを基本とする商慣行の見直しを求める声が高まってきている。