クローズアップ・若手に社員研修のかじ取り/疑似体験通じ業務理解/中央復建コンサルタンツ | 建設通信新聞Digital

5月3日 土曜日

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クローズアップ・若手に社員研修のかじ取り/疑似体験通じ業務理解/中央復建コンサルタンツ

研修の責任者に選ばれた菊地氏 (本人提供)
2D―CAD研修
フィールドワーク(菊地氏提供)
 担い手不足が深刻化し、建設業各社が新入社員研修にさまざまな工夫を凝らす中、中央復建コンサルタンツは、新入社員研修の責任者に入社7年目の若手職員を起用し、業務の「疑似体験」を柱に据えた研修を展開するなど、特色づくりに注力している。
 同社は、OJT(職場内訓練)のほか、入社直後に大阪本社で行う「初期集合研修」やCADの講習など1年にわたる研修を実施。新入社員同士の仲間意識を醸成し、自社の業務内容に対する理解を深めてもらうためのプログラムを展開している。
 4月17、18の両日、大阪本社で行われた「2D―CAD研修」には、中途採用者を含む33人が参加した。技術系だけでなく全職種の新入社員が対象で、講師もテキストも全て自社対応、内製化している。「実際の業務の場面を意識し、より実践的なスキルを伝授する」(ICT戦略室・伊藤麻衣子氏)のが狙いだ。受講者のうち道路系部門に配属された城戸美乃さんは「道路の図面がどのようにして作られるのかが分かった」と話す。また、環境・防災系部門のベンジャミン・モリソンさん(カナダ出身)は「大学の研究室とは違った使い方を知ることができ、ためになった」と振り返った。
 新入社員研修のリーダー(幹事)を務める菊地佑氏は、道路系部門所属の28歳。新入社員らと世代が近い若手職員に人材育成を託したいという同社幹部の思いもあって、前任者の推薦で選ばれた。菊地氏の主導で、今年はこれまでよりもフィールドワークやグループワークといった研修メニューを増やした。「疑似体験を通じて、自社の業務を理解してほしい」との思いを込めたと説明する。
 「自ら考え、伝えることが研修の主なテーマ。一日も早く会社に溶け込んでくれたら」と後輩たちにエールを送る。
 森博昭ICT戦略室長は「新入社員たちは、生まれたときからデジタルが身近だった世代。長年にわたる当社の蓄積を次代に継承していくためにも(研修に)若い人たちの力が絶対必要」と菊地氏らの奮闘に期待を寄せる。