
「区役所の窓口みたいだ」。先日、検査のために行った都立病院の受付待合スペースは病院っぽさがなく、役所の手続きをするような気軽さがあった。これが幸いし、病院特有の不安な気持ちを抱くことなく検査を受けられた◆病院は病院らしく--。必ずしも“らしくある”必要はないのだ。それはほかの用途にも言えるはず◆MRI検査中、機械の中に入っていると、なぜか先日訪れた万博のことを思い出した。今の時代に開催する意義とは何なのか。そんな思いが頭の中を駆け巡る◆会場にはiPS細胞からつくられた心臓が展示されている。医療の世界はきっと、「この人を助けたい」、そうした一人ひとりの願いの積み重ねでできている。万博というのは人々の思いが脈々と刻まれた、年表のような存在なのではないか。