日本建設業連合会(宮本洋一会長)が、国土交通省各地方整備局などと共催する2025年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、12日の関東地区を皮切りにスタートした=写真。戦略的で計画的な社会資本整備・維持管理のためには、近年の資材価格や労務費の上昇を反映した予算増額による実質事業量の確保が不可欠との認識を受発注者双方で共有。また、将来の担い手確保や時間外労働規制の順守徹底といった観点から、働き方改革と生産性向上をさらに前進させる方向で一致した。=2面に出席者一覧 開会に当たり、関東地方整備局の岩崎福久局長は、頻発化・激甚化する水害や加速するインフラ老朽化、切迫する巨大地震などに言及した上で、「防災・減災、国土強靱化の一層の取り組みが必要だ。災害が多発する国土において、建設産業は社会の安全・安心を確保し、経済活動を支える基幹産業である。災害発生時の初期対応や建設産業の持続性確保の観点からも、第3次担い手3法に基づく各種の取り組みや、物価高騰を踏まえた必要かつ安定した実質的な事業量の確保が不可欠となる」と述べた。
続いて、日建連の押味至一副会長・土木本部長は「埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、改めてインフラ老朽化がもたらす社会的影響の大きさを痛感するとともに、近年、気候変動による風水害が頻発化・激甚化していることからも、国土強靱化対策が極めて重要であり、われわれ建設業が担う役割は大きいと実感している」とあいさつした。
その上で「しかし、建設業界の担い手は高齢化とともに減少傾向が続いており、業界を挙げて若年層を中心とした将来の担い手確保に取り組んでいるものの、十分な成果には結び付いておらず、現状は外国人技能者の増加によって何とか維持している状況にある」との認識を示した。
また、「時間外労働の上限規制の適用から1年が経過する中で新たな課題も生じており、これまで取り組んできた働き方改革と生産性向上の一層の強化が求められる」と強調した。
議事では日建連側の提案テーマに沿って、各発注機関が取り組み内容などを説明した。関東整備局は、計画に基づく事業の推進に向け、労務・資材価格の上昇などを踏まえ、必要な事業量の確保に努めると表明。設計成果の精度向上や関係機関協議の計画的な推進、必要な工事予算確保などによって、契約工事の数量減や打ち切りを回避する姿勢も示した。
時間外労働の上限規制順守に向けた取り組みを巡っては、書類の削減・簡素化やワンデーレスポンスをはじめとする受発注間のやり取りを一層適正化するため、3月末に「土木工事電子書類スリム化ガイド」のバージョン4を作成したことを紹介。受注者アンケートを実施し、334社の回答から明らかになった課題事例などを具体的に記載している。25年度には、工事着手前の設計審査会で、受注者にスリム化ガイドの内容を説明することもルール化した。スリム化ガイドに対する意見募集も試行的に始めたという。
週休2日は25年度から、全ての一般土木工事で現場閉所による完全週休2日(受注者希望方式)を原則化。多様な働き方を支援するため、受注者希望で月単位の週休2日も選択可能としている。
日建連側から要望のあった入札期間中に特定の配置予定技術者を拘束しない取り組みについては、4月以降公告の技術提案評価S型(WTO)を対象に、配置予定技術者の資格要件に関する資料の提出期限を落札前とする試行工事を行うとした。本省が4月にまとめた脱炭素アクションプランを踏まえ、GX(グリーントランスフォーメーション)建設機械(電動)や軽油代替燃料を活用するゼロエミッション促進モデル工事を25年度に実施する予定も披露した。8月からは、「若手・女性技術者奨励賞」の受賞者を総合評価方式で加点評価する。
このほか、業界の魅力発信の一環として、若年層にインフラ関係の仕事をPRするため、学校関係者向けの現場見学サイトを開設し、4月から受け付けを始めたことなども紹介した。
続いて、日建連の押味至一副会長・土木本部長は「埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、改めてインフラ老朽化がもたらす社会的影響の大きさを痛感するとともに、近年、気候変動による風水害が頻発化・激甚化していることからも、国土強靱化対策が極めて重要であり、われわれ建設業が担う役割は大きいと実感している」とあいさつした。
その上で「しかし、建設業界の担い手は高齢化とともに減少傾向が続いており、業界を挙げて若年層を中心とした将来の担い手確保に取り組んでいるものの、十分な成果には結び付いておらず、現状は外国人技能者の増加によって何とか維持している状況にある」との認識を示した。
また、「時間外労働の上限規制の適用から1年が経過する中で新たな課題も生じており、これまで取り組んできた働き方改革と生産性向上の一層の強化が求められる」と強調した。
議事では日建連側の提案テーマに沿って、各発注機関が取り組み内容などを説明した。関東整備局は、計画に基づく事業の推進に向け、労務・資材価格の上昇などを踏まえ、必要な事業量の確保に努めると表明。設計成果の精度向上や関係機関協議の計画的な推進、必要な工事予算確保などによって、契約工事の数量減や打ち切りを回避する姿勢も示した。
時間外労働の上限規制順守に向けた取り組みを巡っては、書類の削減・簡素化やワンデーレスポンスをはじめとする受発注間のやり取りを一層適正化するため、3月末に「土木工事電子書類スリム化ガイド」のバージョン4を作成したことを紹介。受注者アンケートを実施し、334社の回答から明らかになった課題事例などを具体的に記載している。25年度には、工事着手前の設計審査会で、受注者にスリム化ガイドの内容を説明することもルール化した。スリム化ガイドに対する意見募集も試行的に始めたという。
週休2日は25年度から、全ての一般土木工事で現場閉所による完全週休2日(受注者希望方式)を原則化。多様な働き方を支援するため、受注者希望で月単位の週休2日も選択可能としている。
日建連側から要望のあった入札期間中に特定の配置予定技術者を拘束しない取り組みについては、4月以降公告の技術提案評価S型(WTO)を対象に、配置予定技術者の資格要件に関する資料の提出期限を落札前とする試行工事を行うとした。本省が4月にまとめた脱炭素アクションプランを踏まえ、GX(グリーントランスフォーメーション)建設機械(電動)や軽油代替燃料を活用するゼロエミッション促進モデル工事を25年度に実施する予定も披露した。8月からは、「若手・女性技術者奨励賞」の受賞者を総合評価方式で加点評価する。
このほか、業界の魅力発信の一環として、若年層にインフラ関係の仕事をPRするため、学校関係者向けの現場見学サイトを開設し、4月から受け付けを始めたことなども紹介した。