【安全本部の役割は?/技術のように安全継承】
熊谷組の常務執行役員安全本部長に就任した若林誠氏は、「社会の担い手であるインフラの整備は使命であり、社会に貢献する第一義として重きを置いている」と強調する。能登半島地震といった災害でもいち早く現地に入って建設業の使命を全うしたが、「インフラ整備を担える安全技術を持っていることが重要だ」とし、「安全を技術のような捉え方で継承する」と力説する若林氏に今後の取り組みなどを聞いた。 「安全は絶対、品質は信頼、環境は使命」をスローガンに掲げ、「安全・品質ナンバーワン」を目指して全社的に安全に最も力を入れていることをアピールする。そのために、「これまでの経験で培ってきた現場の安全に対する思いを社内に伝えていく」構えだ。
「“安全は絶対”を守れる企業でなければ成長しない」ときっぱり。「中期経営計画でも、稼ぐ力、選ばれる力の強化に注力する方針を示しているが、安全が伴わない限りは選ばれない」と口元を引き締める。
「過去の災害事例を検証して危険予知し、安全の知識として伝えていくことが課題になる」との認識を示す。
安全の重要性を伝承していく工夫の一つとして、各支店の安全部と連携しながら意見交換する。具体的には、「支店の風通しを良くするためのサポートや、安全教育、事故や災害が起きた際の支援をする」と話す。
「支店だけでなく、協力会社組織である熊栄協力会とも直接連携することが“安全は絶対”につながる」とし、共同パトロールや、災害に関する検討会の実施などに取り組む。
「熊栄協力会の強みは、土木系、建築系それぞれの協力会社、専門工事業者が一緒に活動していること」だという。安全大会などを利用し、安全の取り組みだけでなく、担い手確保といった課題も共有する。「熊谷組の支店同士だけでなく、熊栄協力会の支部同士も密に連携が取れるような関係性が望ましい」とも。
また、「次世代の熊栄協力会の支部を担う青年部会に力を入れている。今後、輪が大きく強くなることに期待したい」という。
社内の安全に関するルールである安全衛生マネジメントシステムも活用しながら、資料提供や支店の取り組みの水平展開などにも取り組む。
若手現場社員の育成にも力を入れる。研修のほか、所属する現場以外のパトロールへの参加を促す。「自分の現場とは違った視点で注意、指摘ができる。『なぜだめなのか』を考えることが最重要であり、現地で実際に安全を知識として身に付けられる」効果があるという。「チームワークで取り組むものづくりの楽しさを一番感じてほしい」と仕事の魅力も伝えていく。
* *
(わかばやし まこと)1985年3月横浜国大工学部建築学科卒後、同年4月熊谷組入社。2015年4月首都圏支店建築事業部建築部長、19年4月建築事業本部建築企画統括部長、20年4月執行役員首都圏支店副支店長、21年4月常務執行役員関西支店長を経て、25年4月から現職。現場の社員には前向きに先を見ることの重要性を説く。愛知万博で初めて作業所長を務めたが、前職である関西支店長時代にも大阪・関西万博の現場を訪れ、「日本のゼネコンの工夫や連携は、日本人らしい秩序ある仕事のたまものだ」と実感した。
熊谷組の常務執行役員安全本部長に就任した若林誠氏は、「社会の担い手であるインフラの整備は使命であり、社会に貢献する第一義として重きを置いている」と強調する。能登半島地震といった災害でもいち早く現地に入って建設業の使命を全うしたが、「インフラ整備を担える安全技術を持っていることが重要だ」とし、「安全を技術のような捉え方で継承する」と力説する若林氏に今後の取り組みなどを聞いた。 「安全は絶対、品質は信頼、環境は使命」をスローガンに掲げ、「安全・品質ナンバーワン」を目指して全社的に安全に最も力を入れていることをアピールする。そのために、「これまでの経験で培ってきた現場の安全に対する思いを社内に伝えていく」構えだ。
「“安全は絶対”を守れる企業でなければ成長しない」ときっぱり。「中期経営計画でも、稼ぐ力、選ばれる力の強化に注力する方針を示しているが、安全が伴わない限りは選ばれない」と口元を引き締める。
「過去の災害事例を検証して危険予知し、安全の知識として伝えていくことが課題になる」との認識を示す。
安全の重要性を伝承していく工夫の一つとして、各支店の安全部と連携しながら意見交換する。具体的には、「支店の風通しを良くするためのサポートや、安全教育、事故や災害が起きた際の支援をする」と話す。
「支店だけでなく、協力会社組織である熊栄協力会とも直接連携することが“安全は絶対”につながる」とし、共同パトロールや、災害に関する検討会の実施などに取り組む。
「熊栄協力会の強みは、土木系、建築系それぞれの協力会社、専門工事業者が一緒に活動していること」だという。安全大会などを利用し、安全の取り組みだけでなく、担い手確保といった課題も共有する。「熊谷組の支店同士だけでなく、熊栄協力会の支部同士も密に連携が取れるような関係性が望ましい」とも。
また、「次世代の熊栄協力会の支部を担う青年部会に力を入れている。今後、輪が大きく強くなることに期待したい」という。
社内の安全に関するルールである安全衛生マネジメントシステムも活用しながら、資料提供や支店の取り組みの水平展開などにも取り組む。
若手現場社員の育成にも力を入れる。研修のほか、所属する現場以外のパトロールへの参加を促す。「自分の現場とは違った視点で注意、指摘ができる。『なぜだめなのか』を考えることが最重要であり、現地で実際に安全を知識として身に付けられる」効果があるという。「チームワークで取り組むものづくりの楽しさを一番感じてほしい」と仕事の魅力も伝えていく。
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(わかばやし まこと)1985年3月横浜国大工学部建築学科卒後、同年4月熊谷組入社。2015年4月首都圏支店建築事業部建築部長、19年4月建築事業本部建築企画統括部長、20年4月執行役員首都圏支店副支店長、21年4月常務執行役員関西支店長を経て、25年4月から現職。現場の社員には前向きに先を見ることの重要性を説く。愛知万博で初めて作業所長を務めたが、前職である関西支店長時代にも大阪・関西万博の現場を訪れ、「日本のゼネコンの工夫や連携は、日本人らしい秩序ある仕事のたまものだ」と実感した。