日立と日立プラント/非熟練者の業務AI支援/自動チャットで疑問解決/仮想空間にガイドを表示 | 建設通信新聞Digital

7月4日 金曜日

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日立と日立プラント/非熟練者の業務AI支援/自動チャットで疑問解決/仮想空間にガイドを表示

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メタバースとAIの案内で 誰でも迷わず作業できる
 日立製作所と日立プラントサービスは、現場作業の心理的負担軽減と作業効率化を支援する次世代AI(人工知能)エージェント「Frontline Coordinator-Naivy」を開発した。プラントや生産施設の保守・点検の場面で、機器操作などの知見を蓄積したAIとメタバース化した施設を組み合わせ、非熟練者の業務を支援する。 施設管理現場では熟練技術者が不足しており、経験の浅い人材に対するOJT(職場内訓練)の時間が確保できない。また、現場で生じる事象は多様かつ複雑だが、現場対応は1人で実施する必要があるため、非熟練者は作業に必要な情報の取得や対処の判断に不安や迷いを抱え、効率的な作業ができない。
 開発したAIエージェントは、現場で過去に起きた事象や作業マニュアルなどの基本的な資料を蓄積し、タブレット端末のチャット機能を通して作業員に必要な情報を提供するシステムだ。
 テキストによる指示に加え、端末にメタバース化した施設を表示し、具体的な移動経路や作業内容をガイドすることで、誰でも迷いなく作業を遂行できる仕組みを構築した。ウェブ会議機能など、遠隔地にいる管理者や熟練作業員がリアルタイムに作業状況などを共有する機能も備える。
 現場で生じた質疑や作業動画などは、新たなナレッジとして蓄積。AIやメタバース内の情報をより細かく高度化していく。
 実証実験では、日立プラントサービスが管理を担う工場の空調管理トラブルシューティングにプロトタイプのシステムを導入。トラブルに対処するためのワークフローを選ぶタスクで業務遂行能力が28%向上したという。今後、他の作業への活用などさらなる効果検証を進める。
 今後、作業員向けの指示だけでなく、能動的な学習につながる機能なども検討し、主体的な成長や現場のウェルビーイングなどにも貢献したい考えだ。