東鉄工業の新社長に6月26日付で伊勢勝巳氏が就任した。「社業の発展だけでなく、鉄道建設業界のオンリーワンかつナンバーワンとして、業界をリードできる存在でありたい。技術力を軸に会社を発展させ、モデルになっていく」と意気込む。「これまでに培った技術やノウハウを生かし、JR東日本だけでなくさまざまな仕事を通じて、鉄道、ひいては日本全体に貢献していく」と語る伊勢社長に今後の取り組み方針などを聞いた。【業界リードし技術で貢献】
--就任の抱負は
「安全第一を最優先する。作業員だけでなく顧客の安全を確保する跡確認や、保安ルールを守るための訓練と教育を協力会社と徹底していく」
--経営方針は
「中期経営計画『アクションプラン2029』では、29年度までを鉄道のメンテナンス、耐震補強、ホームドア整備といった大型プロジェクトを進めつつ、その先にある新幹線の大規模改修に備えて工法・材料などの技術開発や施工環境を整える重要な期間と位置付けている。対応できる人材育成と、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ分析を活用した機械化など、施工の効率化に寄与する技術開発を進める」
--市場環境をどう見る
「JR東日本は、モビリティーと生活ソリューションの各事業の相乗効果で企業を発展させており、駅付近の建築や土木工事、高架下のリニューアル、メンテナンスといった生活ソリューションに関わる部分は伸びるとみている。公民鉄の工事もさらに広がりが期待できる。実際、公民鉄の受注は2024年度に100億円を超えた」
「耐震補強やホームドアの整備など顧客の安心につながる部分の需要が増えている。これを受けて、例えば、ホームドアの工事では機械の開発や施工方法の見直しにより、コストを抑えて早期に整備するというニーズに応える。31年から新幹線の大規模改修が始まることを見据え、コストダウンでき、長持ちする機械の開発に取り組む」
--協力会社との連携は
「協力会社との共存共栄による三位一体の経営により、お互いが運命共同体との考えの下、共に人材の確保・育成を推進する。東鉄総合研修センターの活用や機械の開発など、協力会社との連携を一層密にするプラットフォームを構築する。単価の引き上げや一時金の普及も継続していく」
--強みを生かした取り組みは
「これまでに培った技術やノウハウをさらに深化させる。より施工に近いところでさまざまなアイデアを出しながら技術開発を進める必要がある。鉄道関連の土木・建築工事だけでなく、公共・民間事業者の分野にも生かしていきたい」
* *
(いせ・かつみ)1988年3月東大工学部土木工学科卒後、同年4月JR東日本入社。2018年6月常務執行役員総合企画本部復興企画部担当兼鉄道事業本部設備部担当、21年6月代表取締役副社長兼技術イノベーション推進本部長、22年6月同兼イノベーション戦略本部長などを経て、25年6月から現職。趣味は料理。好きな言葉は『負けず、驕(おご)らず、なめられず』『粗にして野だが卑ではない』。石川県出身。65年2月12日生まれ、60歳。
◆記者の目
JR東日本では保線業務からキャリアがスタートしたこともあり、「原点は現場の実務だ。特にメンテナンスに関わる業務は奥が深い」と話す。「施工会社が自由度を持って綿密に計画を立てることや、作業員の平準化への配慮の大切さを痛切に感じた」とも。作業の機械化、検査の装置化、システム化といったミッションにも立ち向かい、業務の効率化を実現してきた。物腰が柔らかい一方で、課題にとことん向き合い、その早期、確実な解決につなげた行動力と信頼の下、グループ全体の先導役として敏腕を振るう。
--就任の抱負は
「安全第一を最優先する。作業員だけでなく顧客の安全を確保する跡確認や、保安ルールを守るための訓練と教育を協力会社と徹底していく」
--経営方針は
「中期経営計画『アクションプラン2029』では、29年度までを鉄道のメンテナンス、耐震補強、ホームドア整備といった大型プロジェクトを進めつつ、その先にある新幹線の大規模改修に備えて工法・材料などの技術開発や施工環境を整える重要な期間と位置付けている。対応できる人材育成と、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ分析を活用した機械化など、施工の効率化に寄与する技術開発を進める」
--市場環境をどう見る
「JR東日本は、モビリティーと生活ソリューションの各事業の相乗効果で企業を発展させており、駅付近の建築や土木工事、高架下のリニューアル、メンテナンスといった生活ソリューションに関わる部分は伸びるとみている。公民鉄の工事もさらに広がりが期待できる。実際、公民鉄の受注は2024年度に100億円を超えた」
「耐震補強やホームドアの整備など顧客の安心につながる部分の需要が増えている。これを受けて、例えば、ホームドアの工事では機械の開発や施工方法の見直しにより、コストを抑えて早期に整備するというニーズに応える。31年から新幹線の大規模改修が始まることを見据え、コストダウンでき、長持ちする機械の開発に取り組む」
--協力会社との連携は
「協力会社との共存共栄による三位一体の経営により、お互いが運命共同体との考えの下、共に人材の確保・育成を推進する。東鉄総合研修センターの活用や機械の開発など、協力会社との連携を一層密にするプラットフォームを構築する。単価の引き上げや一時金の普及も継続していく」
--強みを生かした取り組みは
「これまでに培った技術やノウハウをさらに深化させる。より施工に近いところでさまざまなアイデアを出しながら技術開発を進める必要がある。鉄道関連の土木・建築工事だけでなく、公共・民間事業者の分野にも生かしていきたい」
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(いせ・かつみ)1988年3月東大工学部土木工学科卒後、同年4月JR東日本入社。2018年6月常務執行役員総合企画本部復興企画部担当兼鉄道事業本部設備部担当、21年6月代表取締役副社長兼技術イノベーション推進本部長、22年6月同兼イノベーション戦略本部長などを経て、25年6月から現職。趣味は料理。好きな言葉は『負けず、驕(おご)らず、なめられず』『粗にして野だが卑ではない』。石川県出身。65年2月12日生まれ、60歳。
◆記者の目
JR東日本では保線業務からキャリアがスタートしたこともあり、「原点は現場の実務だ。特にメンテナンスに関わる業務は奥が深い」と話す。「施工会社が自由度を持って綿密に計画を立てることや、作業員の平準化への配慮の大切さを痛切に感じた」とも。作業の機械化、検査の装置化、システム化といったミッションにも立ち向かい、業務の効率化を実現してきた。物腰が柔らかい一方で、課題にとことん向き合い、その早期、確実な解決につなげた行動力と信頼の下、グループ全体の先導役として敏腕を振るう。