清水建設/山岳トンネル現場の自動化/要素技術開発が完了 | 建設通信新聞Digital

9月28日 日曜日

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清水建設/山岳トンネル現場の自動化/要素技術開発が完了

シミズ・スマート・トンネルイメージ図 
 清水建設は、山岳トンネルの建設現場におけるオートメーション化を目指す次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術の開発を完了させた。今後、実際の現場で適用を進めていく方針で、初弾として「北海道縦貫自動車道七飯町大沼トンネル峠下工区工事」「令和5年度道改国第3-2号道路改良工事(日田山国1号トンネル本坑1工区)」などへの導入を開始する。
 高齢化や人手不足が深刻化している中、特に山岳トンネル工事では狭い空間内での人と機械の接触や岩盤崩落といったリスクがつきまとう。同社は、国土交通省が進めるi-Construction2.0の方針に沿って「トンネル施工」「施工管理」「データ連携」の3領域でオートメーション技術を導入し、省人化と安全性の両立を目指している。
 施工分野では、「コンクリート吹付け・鋼製支保工建込み」「ロックボルト打設」といったトンネル工事の各工程に対応したロボットを開発した。「穿孔(せんこう)・発破」の工程では、穿孔差し角自動制御システム「BLAST MASTERII」を活用。地山の性状に応じた最適な発破パターンとシーケンス設計を自動導出する。
 施工管理の分野では、ウェブカメラの映像からトンネル坑内の作業状況をAI(人工知能)で自動判定し、チャットツールで施工関係者へリアルタイムに展開する「AIサイクル自動判定システム」、目に見えない微細な振動を捉えて切り羽全面をモニタリングする「切羽崩落振動監視レーダーシステム」などを活用し、現場判断の客観性を確保する。
 さらに、データ連携では、調査・測量、設計、施工、維持管理といった各プロセスでシームレスにデータを共有し、デジタルデータを最大限利活用できるシステムを導入。取得したデータは数値シミュレーション技術による施工リスクの自動評価や可視化などに生かす。